GGO編
九十話 shopping
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店だよ。プレイヤーの叔父さんが経営してるから、土日じゃないともっと遅くにしかあかないけど……」
言いながら、アイリは木製の扉を開く。
扉の上に付いた看板には赤字で 《Steele arm》 と書かれている。
「こーんに―ちわー」
「おう、いらっしゃい……お、アイリか……って」
中に居たのは、気の良さそうな中年の男性だった。リョウが武器屋に持っていたイメージとは違うが、白髪に無精髭はともかく、煙草を咥えているその姿は、武器屋がそれで良いのかと言いたくなる。
まぁ、ゲームなのだから火器厳禁も糞も無いか……
「アイリ男連れか?こりゃ驚いた……」
「叔父さん変なこと言わないで!!友達!友達だよ!ってあれ……?」
奥でアイリと店主が何かを騒いでいるのが聞こえ、リョウはそちらに向かう。
「叔父さん、この人が男の子だって分かるの!?」
「ん?そりゃお前、見りゃわかるだろう?確かに中性的な顔だけどなぁ」
唖然として驚いた様子のアイリに、店主のおっさんはあっけらかんとした様子で言っている。
自分でも男と気付かれたのが意外で、リョウは辟易とした気分になった。
「……で?アイリ、今日は何をお求めだい?」
「あ、今日は……この人の装備を整えに来たの」
「ほほう?」
ふたたび含みのある視線でアイリを見たおっさんに、アイリは「違うってば!」と腕をぶんぶん振って否定する。背が低いせいで余計に子供っぽく見える。
「で?兄ちゃん、この子とは何処までいってるの?」
「おう?言った方が良いか?」
「お〜じ〜さ〜ん〜!!!リョウも変なこと言わない!もうっ!」
腕を組んで顔を逸らしたアイリに苦笑しながら、リョウは「わるかったわるかった」と肩を叩く。溜息をついて、アイリは振り返った。
「それで、装備なんだけど……」
「おう、見たとこ初心者だろう?安めの装備の方が良いか?」
「あーいや、訳あって金は有るんでな……コンバートだからステータスもあんま気にしなくて良いんだ。んで……BoBに出られるレベルの装備が欲しい」
「ほぉ……」
少し驚いた様子で店主は顎を撫でる。妙に様になっているその動作は、何となく歳の功と言うか……味が有る。
「コンバートして行き成りBoBとは、根性が有るねぇ……良いだろう。見繕うのを手伝おう……ただし、その前に一つ聞いとかなきゃならない」
「?何すか?」
「君の持ってる金とやらが、アイリちゃんから受け取った物なら……俺は君に商品を売れんよ。この子の友人としても、MMOプレイヤーとしても」
言った瞬間、男性の雰囲気が一気に変わった。空気に重さが付加されたと言うべきか。この人も、相当な手練れだと、りょうはその場で理解した。
「ち、ちょっと叔父さん!」
「成程、道理だなおっさん。けどな……」
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