十話:少女と日常
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俺の財布にはデカイやつを一つ買ってそれを分けた方が優しかったんだよ、リオちゃん。
「何だかチャンピオンがリヒターさんを見る目が熱ぽかったです!」
それは……否定は出来ないような気もするが、とにかく俺達は付き合ってなどいない。
今はそのことをしっかりと伝えるべきだろうと思い口を開く。
「まったく、女の子だからこういう話が好きなのは分かるが俺達は付き合っていな―――」
『リヒター、今日もご飯食べに行ってええ?』
「いつものことなのに、わざわざ通信か、ジーク。来るなと言ってもお前は来るだろ」
『あはは、バレとった? それで行ってもええ?』
「はぁ……おでんを作っておくから余り遅くなるなよ」
『おおきにな、リヒター! リヒターの優しいところが私は、す、好きやで!』
最後に頬を真っ赤に染めながらも満面の笑顔を残して画面から消えていくジークに何とも言えない表情をする。
また家の食費が増えるが今回ばかりは応援してやろうと思っているので仕方がない。
まあ、何はともあれ。
「俺達は付き合ってなんていないぞ」
『嘘ですね!』
何がなんだか訳がわからないよ。
何故か凄みのある笑顔でニッコリと笑って詰め寄ってくる少女達。
天使のような笑みだが今はそれが怖い。
「一緒に家でご飯を食べているのに!?」
「いや、あいつが勝手に押しかけているんだが」
「でも、それを嫌がらずに受け入れていますよね?」
ヴィヴィオちゃんがズイと踏み込んでくる。
何なんだこの迫力は?
かの聖王を彷彿させるような圧倒的な覇気を纏ったヴィヴィオちゃんが怖い。
しかし、こんなところで怯むわけにもいかない。
「だから、俺とジークはそんな関係じゃない」
「でも、でも、あのチャンピオンがあんなに可愛らしい表情をしてたんですよ!」
「……知識や認識とは曖昧なモノだ、その現実は幻かもしれない。人は皆思い込みの中で生きている、そうは考えられないか?」
どこか遠い目で話す俺にヴィヴィオちゃんが思わず後退る。
例えば世界最強の女子と思われているジークが私生活ではダメダメな乞食だということみたいにな。
普段のジークはあんな感じだと誰が信じるだろうか。
出来ればヴィヴィオちゃんには夢を見ておいて欲しい。
現実を知るにはまだ早すぎる。……何でこんな真面目な話になっているんだろうな?
「それでは、一体全体お二人はどんな関係なのですか?」
「そうだな……敢えて言うのなら―――」
どこか安堵したような様子で聞いてくるアインハルトちゃんに言われて現在の俺達を言い表す簡単な言葉を思い出す。
すっかり忘れていたが俺は―――
「ジークのセコンドだな」
今回の大会はア
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