第八十一話
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》とすれ違った。俺とは逆方向に歩いていく、マントを全身に被った長身の男。……いや、その顔には骸骨を模したマスクが被せられており、その顔までは伺い知れない。体格だけでそうだと判断しただけで、もしかしたら女かもしれない。
何にせよ、不気味なほどに正体を隠した奴は……ただ一言、すれ違い様に小さく呟いた。
――『黒の剣士と、組んで、何を、する気だ、銀ノ月』と。
《黒の剣士》に《銀ノ月》。そのどちらもが、俺にとっては馴染み深いと同時に、懐かしい名前だった。あの浮遊城《アインクラッド》において、キリトと俺に戦意向上の為に与えられたその名前。今プレイしているALOでも、キリトはその外見や俺の刀の名前から、そう呼ばれることがない訳ではないが……真の意味を知っている者は、一部の者に限られる。
……すなわち、元SAOプレイヤーしかありえない。
「……待て!」
振り向いてそう叫んだ俺が見たのは、曲がり角を曲がっていくその灰色のマントの姿。待てといって待つ奴はいないとばかりに、俺の言葉などなかったかのように、そのマントはどこかへ去っていく。
舌打ち一つ、俺はそのマントを追って曲がり角を走ると――
「わわっ!」
「っ……!」
――曲がり角の向こうから現れた、小さな人影にぶつかってしまう。相手の方が身体が小さかった為か、こちらは少し衝撃を受けただけで済んだが、相手側は結構な勢いで転んでしまう。謝ろうとそちらを向くと、そこには見知った顔が座っていた。
「すまな……リーベ?」
「ってて、あ! ショウキくん久しぶり!」
ピンク色の踊り子は何事もなかったかのように立ち上がると、何やらアイドルのようなポーズを決めてみせる。大丈夫そうだと確認し、曲がり角の向こう側を見てはみるが……あの灰色マントの姿はどこにもなかった。
「なあリーベ。こっちにマント着た奴、来なかったか?」
「んー……来てないけど?」
リーベはそう言って肩をすくめてみせる。ここは対戦場への待機場所の近く、リーベとあの灰色マントが入れ替わりになってしまったか。SAO生還者……死銃……その二つのことに共通することとして、俺の脳裏に一つの単語が横切った。
――笑う棺桶《ラフィン・コフィン》。
SAOの世界で快楽のために人を殺害してきた殺人ギルドと、ゲーム内からプレイヤーを殺す死銃……『プレイヤーを殺す』という点しか繋がりはないが、どうしても俺にはその可能性を捨てることが出来なかった。あの灰色マントの禍々しい気配からか……はたまた、別の理由が原因か……それは分からない。
「どーしたの? ショウキくん?」
顔を覆う俺の背後から、心配したようなリーベの声が聞こえてくる。彼女の前でこれ以上考えることではな
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