第八十一話
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出来る戦いとは一体なんなのか。確かに素人目からしてもこのAA−12は強力な銃だし、自分が使うにあたっても使いやすい武器だ。先のザビーの時のように、室内でのフルオートショットガンは多大な制圧力を誇るだろう。
だが、それはそんな環境に限っての話だ。室外で自由に動ける状況や、室内でも壁蹴りなどを活かすことが出来るのであれば、《弾道予測線》を使って避けきることも難しくはない。恐らくは自分にも出来る自信もあり、《弾道予測線》という存在に慣れたこの世界の住人たちは言わずもがな、だ。
「考えないとな……」
と、独り言を呟いた瞬間。自分たちが参加しているEブロックの一回戦が終わった……という旨の連絡が総督府内部に響き渡り、俺は二回戦へと歩を進めるべく、出撃待機部屋へと向かうことにした。
……二回戦だろうとこの待機部屋は変わらず、相変わらず感覚のなくなりそうな暗闇の部屋だった。先と同じく、対戦相手の名前と戦う場所が表示されており、それだけが唯一の情報だった。……どのようなシステムになっているのか、自分と自分の装備だけははっきりと見えるが。
対戦するステージはスタジアム。野球場のような場所か、闘技場のような場所か。……何にせよ、AA−12をフルに活かすことが出来る室内ではないことは確かだ。
そして対戦相手の名前は――
「……ピース」
――この世界には、まるで似合わない名前だった。
……と、そうしていると俺の身体を転移の光が包み込み、程なくして新たなフィールドへと現れる。スタジアムという名前に違わず、今すぐにでも野球が始められそうな場所だった……例によって例のごとく、雨を防ぐドームが半壊していたり、人口の芝生が捲れてコンクリートが丸見えになっていたりするが。肝心のスタジアムにも、破壊された何かがゴロゴロと転がっている。
――何より、それらより遥かに重要なことが。
「…………!?」
すぐ目の前に《ソレ》はいた。ショッキングピンクの髪の毛をサイドテールに纏めた、改造された制服を着たような少女。自分以外にここにいる人間ということは、目の前にいる彼女こそが《ピース》であるということに他ならない。
「あちゃー……正面に出るタイプですか。ボクがピースです、よろしくお願いします」
油断なくAA−12を構える俺に対し、ピースと名乗る少女は予想に反し、穏やかに礼儀正しく話しかけてくる。その手には二丁の銃が構えられているが……そのデザインは銃というよりは、どことなくALOのようなファンタジー世界のものを思わせた。……個人的には、「またピンク髪か」と思わずにはいられなかったが。鍛冶屋といい、あの踊り子といい……
「あの……ボクの銃、気になりますか?」
「あ、ああ……」
銃の方を見て考え事に
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