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BloodTeaHOUSE
空の散歩
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すがにここまでだとは思わなかったよ‥‥テレビの”初めてのおつかい”以上じゃない?

「そうや、絶っ対やで!」
「いいか、絶っ対だぞ?」
「もぅ〜、わかったってばぁ〜」

これじゃあキリがないよ‥‥飛白にSOSの視線を送ってみる。
この無限ループからなんとか助け出してくれないと、お散歩どころじゃないんだもん。

「注意は済んだみたいだね。じゃあ行こうか香澄ちゃん」
「はーい!」

タイミングよく飛白が話を切り上げてくれたので、元気な返事でさっさと扉を抜けていく。見送りだって、お店の外までついてきた裏子とんごーにちょっと呆れちゃう。
そこまで心配しなくてもいいと思うんだけど、裏子とんごーは飛白を信頼してないしね‥‥

ふわっとお姫様みたいに抱き上げられて、ちょっとドキッとする。
だっていつもより顔が近いんだもん‥‥ホント飛白って、こういう時はキザなんだから。

「いってきまーす!」

なんて2人に向けて、笑顔で手をぱたぱた振る。

「時間守れよー!」
「絶対ちゃんと帰ってきぃやー!」

まだ心配してるよ‥‥‥2人とも心配性というか過保護というか‥‥

「いくよ」

声とともに飛白の背中にバサっと翼が現れる。大きいコウモリの羽みたいな真っ黒な翼。
別に羽ばたいたりしてないのに飛白の体がふわっと持ち上がる。

「わっ!」

それと同時に、手も足も私の全部が急に軽くなる。
飛白が捕まえててくれないと、ふわふわ飛んで風船みたいにどっかにいっちゃいそう‥‥‥

「掴まっててごらん」

そう言って腕を差し出されたから捕まると、体からゆっくりと手が離された。

「すごいっ!飛んでるよ!わたし飛んでるっ!」

きゃいきゃいはしゃぐ私の、ふわふわ浮かぶ体を、飛白が空へ連れて行ってくれる。
新しい体の感覚に感動しすぎて景色なんか見る余裕がないから、一体どのくらいの高さ
なのか分かんないけど、浮かぶ体が面白くって新しくって笑い出してしまう。

「うふふっふふふっ」
「楽しんでくれてますか?おひめさま」

飛白はこんな時でも、やっぱりキザで。 あぁ、こんな時だからこそ、なのかな?

「すっご――く 楽し―――いっ!」

うれしくってうれしくってうれしくってうれしくって、腕にギュッと捕まる。

「すっごくすっご――く 嬉し―――いっ!」

この気持ちが伝わるように、腕から今思ってる気持ちが伝わりますようになんて思って、
頭をそっと腕に寄りかからせる。そこでようやく、わたしはまわりの景色が目に入った。
足元の下にお店と真っ暗な森があって、まわりはぜーんぶ夜の空っ!
繊月(センゲツ)とプラネタリウムよりいっぱいなくらいの星たちと、飛白の真っ黒な翼。

「わぁぁぁぁあ、
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