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少年と女神の物語
第百十六話
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か?」
「ああ、問題ない・・・ザババだって、同一視とかたどれば戦での狂った所業とかも司ってんだ。それに任せれば行けるかなー、って」
「そ、そんな無茶苦茶な・・・」

 厳密に言えば違ったきもしますし、普通なら考えもしない、というかありえないような手段なのに、それを実行したとか、もうどうして・・・

「・・・そう言えば、どうしてここに?今更ながら服もあのままですし・・・」
「目が覚めたからダッシュできた。ってか、アテの神気を感じすぎるくらい感じて、何だこれって思ってな・・・」
「それは、すいません・・・」

 神殺しである武双には、分かったんですよね・・・本当に、申し訳ない・・・

「あーっと、だな・・・悪いな、俺がケンカ売ったのに、結局ほとんどアテに任せちまった」
「あ、いえ。それはいいんですよ!むしろ私の方こそ、あそこまで本性に身を任せてしまったせいで、武双に迷惑を・・・」

 お互いに謝りあってから、同時に笑う。

「そんなら、今回のことはお互いさまってことで」
「ええ、そうしましょう」
「そう言うわけで終わり、としたいんだけど・・・一つ頼んでもいいか?」
「あ、はい。もちろん、家族ですから」

 このセリフをまた言えたことが、とてもうれしい。『家族だから』なんて、あのまま本性に飲まれていたら間違いなく言えませんでした。

「それじゃあ、悪いんだけどさ・・・俺を、家のベッドまで運んで・・・・」
「・・・・・・へ?」
「正直、もう限界・・・」

 そう言って、武双は私の胸に倒れこんできた。ちょっと驚いたけど、でももう限界なのは分かっていましたし、そのまま抱き留めます。・・・正直、こういう時にもう少しでも胸があればなー、とか思うんですけど・・・うん、もういいです。気にしたら負けです。ええ、気にしないったら気にしないのです。
 まあ何にしても、とりあえず武双を背負って運ばないとですね・・・

「・・・・・・少しくらいは、いいですよね」

 そうつぶやいて、武双ともう一度キスをします。さっきと違って、触れるだけ。舌を入れることはない。ただそれだけのキスですけど・・・でも、やっぱり。とっても、幸せ。



 ・・・・・・・・・ちなみに、ですが。
 家に帰って、疲れてるだろうからということでその日だけは寝てからですけど。私と武双の二人は御崎姉さんにこっぴどく怒られました。武双には、死んでも大丈夫なんて言う楽観を捨てるようにと。私には、家族を離れることになりかねない手段なんてもう二度と使うなと。
 本当に、もうこれ以上ないくらいに、まつろわぬ神と神殺しの魔王がそろって恐怖しつくすくらいに。その時の御崎姉さんは怖かったです・・・

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