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少年と女神の物語
第百十六話
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神アテという存在はここまで厄介なまつろわぬ神ではない。もちろん神と神殺しの殺し合いなのだから用意ということはないであろうが、それでも有効な手段はある。要するに、権能に頼らない手段を用いればいいのだ。ドニであれば剣、睡蓮であれば体、武双であれば槍。技術を磨いていない神殺しであっても、物理的に潰すことならできるだろう。そう言った手段を取られれば、女神アテには対抗する手段がない。
 しかし、神代アテが相手では、その前提は崩れてしまうのだ。相手が技術で向かってくるのであれば、自らも武を持って相手する。何かしらの手段で潰そうとするのであれば、その物自体を砕く。女神アテでは持ちえなかった対抗手段を持っている。ただでさえ武を持ち合わせていない九人目では、より一層面倒になってしまうのだ。

「それにしても、今ので狂わせることが出来たのはルーサルカのもののみか・・・いやはや、うまくはいかぬものよのう」
「狙ってやったんじゃないんかよ、あれ」
「面倒な方を狙うにきまっとろう。全てを知るわけでなかったが故か、より多くを知っていたためか、そちらを優先されただけよ」
「ふぅん、そんな条件があったのか」
「人と共にあるうちに、自信で妙な制限を付けてしまってのう。しかし・・・次はないぞ、神殺し?」

 イヒヒ、イヒャヒャヒャヒャ、などと漏れる笑い声。時間がたつにつれより一層狂気に染まり、狂気に満ちるその表情。恍惚とでもしているのか、それとも狂気に身をゆだねることに快感を覚えるのか。何かしらの理由から頬も染まるその表情からは、淫靡な魅力すら感じてしまう。

「さて・・・そろそろ、かのう」
「あぁ?」
「ああ、そろそろ。そろそろだ。そろそろ行けるだけの情報は得た相手の獲物の特徴も長さもとらえた権能もまだ全てではないようだがそれも些細な誤差だああいけるそろそろそろそろそろそろそろそろそろそろそろそろそろそろそろそろそろそろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そろそろ、いける」

 次の瞬間、一瞬けげんな表情をした九人目の左腕が飛んだ。

「んな・・・・・・ッ!?」

 血を流し、どこかへと飛んでいく自らの左腕。それに目を見開き視線をもっていってしまったときには、既に聖槍(ロンギヌス)が背後から彼の右肩を貫いており、痛みでうめいた瞬間には既にアテの手に戻っている。
 槍の全体が血に濡れていてうっとおしかったのか、槍を逆の手に再度召喚することで血だけを落とし、再び構えながら右手に握っていたものを捨てる。それは、一つのリールであった。
 武双の権能によって作られた電動式のそれ。アテは普段であれば落としてしまった時などに使ったりしていたのだが、今回はそれ自体を権能の一端であるととらえて狂わせ、その巻取りの勢いを増加。純粋な力で投げられた|聖槍《ロ
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