九校戦編〈下〉
九校戦八日目(4)×本物の人間と偽物であるドウターとの区別に千葉家の兄妹喧嘩
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」
「畏まりました」
九校戦なのか、あちらこちらで有名人を見るが方面には有名人である事を知っていた。俺らが見ている間に何やら兄妹喧嘩が始まりそうだったが、その中にエリカと摩利がいる。だが二人とも擬態しているドウターだと言う事を知らずに喧嘩をしていた。
「次兄上!何故このような所にいらっしゃるのですかっ?」
エリカが次兄上と言ったので、あれは二番目の兄上であり『千葉の麒麟児』とも言われている千葉修次。防衛大学校に在籍中でありながら、三メートル以内の間合いなら世界でも十指に入る達人と噂されている魔法白兵戦法の英才だと聞いている。
普通ならエリカにとって自慢の兄貴なはずだが、尋常な剣幕となっている。アイツは千葉家の中では異端視されているとも聞いているし、エリカが『正統』に拘る性格とも思えない。俺らが見ていたとしても、それを気にせずにエリカが兄へ食って掛かっていたがすぐ傍にいる摩利を視界に入っていない。
「兄上は来週まで、タイへ剣術指南の為のご出張のはずです!何故ここにいらっしゃるのですか!」
「エリカ・・・・少し落ち着いて」
エリカはすっかり頭に血が上っている様子だった事だが、いつも他人や世の中をどこか傍観している雰囲気だったが為に今の状況は珍しい場面でもあった。千葉修次が宥めようとしても、今のエリカにとっては逆に火に油を注ぐかの如くだった。
「これが落ち着いておられましょうか!和兄上ならばいざ知らず、次兄上がお務めを放り出すなど、昔であれば考えられませんでした!」
「いや、だから落ち着いて・・・・僕は仕事を放り出して来た訳ではなくてね・・・・」
千葉修次はその武名に似合わず気が弱いという部分を見せていたので、優しい青年に見えて公衆の面前で収まる気配のない妹の興奮を前にして、ただの言い訳でしか聞こえないように思った。
「ほぅ・・・・そうですか。では、タイ王室魔法師団の剣術指南協力の件は、私の思い違いだと仰るのですね?」
「いや、それはエリカの言う通りなんだけど・・・・無断で帰国した訳ではなくて、ちゃんと許可はもらったというか・・・・」
「そうですか。日本とタイの外交にも関わる大事なお務めを中断しなければならなかったのですから、さぞや重要なご用事なのでしょう。その大切な大切な緊急のご用事で帰国された兄上が、何故高校生の競技会の会場になどいらっしゃるのです?」
声のトーンがマシになったのか、反比例してエリカの機嫌は斜め上に行く程に見えた俺と深雪に蒼太。証拠としては、彼の顔が引き攣っていたがドウターは本物と偽物にすり替えて、人間社会に浸透しようとしている。なのでドウターも少しは知恵を持ったかのように思えたが、それは前回もあった鬼が元人間だと言う事だと思った。
「いや、外交って
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