始まり
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、声に導かれて異世界、リィンバウムへと渡り、わけもわからぬまま彷徨い歩き、幸運にも温かい居場所、スラムの仲間たちを得た記憶。それが、始まりだった。
元の世界ではあり得なかった、魔法のような“召喚術”や、刃引きもしていない剣やその他武器のぶつかり合う争いに巻き込まれながらも――というより半ば自分から飛び込み、自分の意思を貫いてきた……と思う。
相手は、本当に色々だった。
最初は、“フラット”、すぐに打ち解けることになったスラムの一グループと少しだけ喧嘩した。結局、彼らとは最後まで一緒だった。本当にいい人達だった思う。
次に、そのフラットを敵視していたグループで、その後何度もぶつかることになる“オプテュス”。彼らのリーダーには、今でも含むものがある。彼を動かしていたものを、あたしはごっそりと奪ってきたから。
他には、あたし達のいた“サイジェント”という街の執政を行っていたらしい、貴族であり召喚師でもある“金の派閥”のマーン兄弟。サイジェント領主傘下の騎士団に、召喚師の横暴、それを許す領主に対して不満を抱える反抗組織“アキュート”。……結局、どっちにも問題はあったんじゃないかと、一歩引いて見た時はそう感じた。だからこそ争うことになったのだけど。
さらに、あたしがリィンバウムに来るそもそもの原因となり、かつ色々と裏で糸を引いていたらしい、“無色の派閥”。そもそも彼らの行った“魔王召喚の儀式”が失敗して、あたしがあの世界に喚び出されたのだ。
そして、あの世界の一種の管理者である“エルゴ”やその守護者達のことも忘れてはいけない。関わりは少なかったが彼らには感謝しているし、同時に申し訳ないことをしたとも思っている。貰った力を、最終的に持ち逃げしちゃったわけだし。
あとついでに、あたしの力が危険だとかということでやって来たらしい“青の派閥”の召喚師達。やって来た責任者の人はわりかし話を聞いてくれる人だったけれど、本部で指示を出したであろう人達とは絶対に分かり合えないような、そんな予感がした。
……まぁ彼らの方が正しかったと、終わった今は思う。もう、何もかも手遅れだとも思うけれど。
一体、何があったのか。
簡単に、端的に説明するのなら、それこそ一言で足りる。
あたしが、魔王になった。
ぶっちゃけそれだけ。
失敗した魔王召喚の儀式をやり直そうとし、ポコポコと悪魔を喚び出す無色の派閥。それを止めるため、あたしと仲間たちは儀式場のある森の中に入り、倒しても倒してもキリのない悪魔に圧倒されそうになった。
そこで、それまでのあたしの意識は唐突に終わりを迎えた。
行われた不完全な儀式で力を増した、あたしの中にいた魔王がその意識を覚醒させ、あたしの意識を取り込み表層に出てきてしまったのだ。どうやらあたし
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