第2話 : 天女の導き・後編
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藤原肇と星井美希は対極である。
あえて双方を武器に例えると、まず藤原さんは研ぎ澄まされた日本刀だ。
それも剣術に置いて必殺技と呼べる居合い刀と、俺は思う。
居合い……又は抜刀術とも呼ぶそれは、刀を抜いて、斬って、納める、その単純動作だ。
なら、なぜ単純なそれが必殺技と化けるのか?
なに単純な事だ。刀が圧倒的な切れ味を誇るなら、その事実を最大限生かせば良い。つまりは正しく構えて、正しく抜いて、正しく斬って、正しく納める……それだけで回避も防御も不可能な最速の絶対切断となる。
それは文字通り必殺技だ。
分かるだろうか?この様に単純な存在ほど、巧く使えば恐ろしく絶対的なのだ。
基礎基本それは下地である。だが、それと同時に揺るがない根底とも言える。
ならば、あらゆる分野で正しく基礎基本を引き出せるとすれば、それは存在するだけで隙のない存在に化ける。
ただし、人間が走る事が出来ても、世界記録並に早く走る事が出来る人間が限られるように、誰でも出来る事は極めるのは困難だ。
だからこその藤原肇……人は彼女を『純粋技量』呼ぶ。
正しく歩き、正しく踊り、正しく歌い、正しく伝える。
特別な事をしなくても、それだけで彼女は特別となれる。それだけの集中力と技量を持っている。
もし、藤原肇が完成した時、その時はただそこに居るだけで人々を虜にする存在……そう、それは名実ともにトップアイドルと呼ばれるだろう。
……対して星井美希。
彼女を例えるならば十文字槍と考えよう。
ただ素人が振り回すだけでも凶悪な性能を発揮する武器だ。
その特異性は攻撃範囲の広さと攻撃手段の多さだ。
突けば槍。薙げば薙刀。引けば鎌。この言葉はその道の者ならば有名だろう。
槍と言うだけで刀に3倍する性能なのに、より回避も防御も難しい構造である。
適当に振り回すだけでも怖いのに、これを鍛練した玄人が使えば無双の武器だ……
言うなれば、十文字槍とは武器としての才能を持って産まれた存在だ。
単純故に使い方に寄っては必殺となる日本刀。
複雑故に存在その物が必殺となりかけてる十文字槍。
そら、その在り方は対極だ。使い方次第で優位性を保つ者と、産まれ持った才能を振り回すだけで結果を残す者。
その差は……ある種の冒涜だ。
無論。現在の星井美希は才能だけじゃなく、それを磨き伸ばして使いこなしている。
昔の彼女ならばいざ知れず。今の彼女ならば毛嫌いする理由もない……無いのだ……
だが、しかし……ちひろさんが言ったように、俺と藤原さんが相性良いならば、藤原さんと対極に位置するであろう星井美希とは……やはり相性が悪そうだ。
***
「あの
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