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遥かなる星の後
第1話 : 天女の導き・前編
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まる人間の質は、俺なんかが思っているより遥かに高次元だったのだ……
 分かるだろうか……?フラフラと数歩歩けば、そこには有名なアイドルとエンカウントする空間を……
 うん。怖い……アイドルではなく、回りのプロデューサー達が……
 例えば、右をご覧ください〜
 そこなテーブルにてケーキを食してらっしゃるのは。
 初代シンデレラの十時愛梨さんではあーりませんか……んで、そのテーブルに群がるスーツの群れ。他社のプロデューサーさん達は、何とも必死にあれこれと十時さんに言い寄っている。




「なんだかな……」




 そんな光景を目の当たりにすれば、やるせなさを口にするしかない。
 だが、これで終ると思うなよ?
 更には左をご覧ください〜
 そこに居ますのは、今期のシンデレラであります。渋谷凜さんでーす。
 こちらにもスーツが群がってますが、持ち前のクールフェイスでやり過ごしてます。流石に場慣れしてますね。はい……
 ってか。どっちも顔には出さないが、迷惑そうだ。有名税と言うならそうだが、それでも彼女達はアイドルって仕事をしている人間であって、物じゃない。
 慣れてるからと、あんなに人に群がられたらストレスだ……
 しかも、誰一人としてそんな事に気がつかずに、勧誘をかけるばかりである。本当に彼等はプロデューサーなのだろうか?




「やるせないなぁ……」





 不意に目を閉じる。そして集中。
 己の中に深く沈む。幼い頃から知っている、心が冷たくなる感覚。パーティーの雑音も一瞬で遠い世界のモノと変わり。
 完全な暗闇と静寂が、俺1人を支配する。
 俺は集中する。遥か昔の記憶を引き上げるために……





  『私のために芸能界に入るの?』


『それは駄目だよ?君は君の願いの為に生きないと、ね?』


『でも……もし、君が大きくなって芸能界で働くなら……』


『私じゃなくて、私以外の困ってるアイドルの力になってあげてね?』








 それは、とても古い記憶。夕焼けに照らされた世界で、あの人は俺にそう言った。
 そう……言ったのだ。困ってるアイドルを助けてあげてと。




「なら、やることは決まっている」




 目を開ける。相変わらずのスーツの群れ。冷静に、回りを見渡す。


 集中ーーーーー


 そう、俺にできるのは何時だってこれだけだ……集中……集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中。集中ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………




 目で動きを捉え。耳で音を調べ。
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