第1話 : 天女の導き・前編
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驚くことはない。だって、今回の懇親会に同伴するのアイドルは藤原肇と教えられていたのだから。
「あぁ、助かったよ藤原さん。久しぶりだね……どうにも不馴れでね。こう言う場所は」
「お久しぶりです。誰でも初めは気後れするものですよ?私も初めて参加した時は……お恥ずかしながら右も左も分かりませんでしたし」
「………………」
「どうかしましたか?」
「あ、いや……とてもドレスが似合ってるよ……」
彼女とは半年の付き合いがあって、見慣れてるつもりだったが……
思わず見とれた。それこそ人間の枠を越えたような美しさだ。
まるで、伝説に登場する天女様みたいに……まぁ、恥ずかしくてそんな事は言えないがね。
「ふふっ……ありがとうございます。では、参りましょう?」
「あぁ、行こうか」
微笑を浮かべる天女に誘われる場所は、天国か地獄か……いや、地獄確定だよな。
***
芸能界は燦然と輝くキラキラした世界……
そんなのはおとぎ話で、二次元の世界の話だ。
綺麗な夢物語を口にできるのは、精々高校生までだろう……
どんな言葉を並べても、どんな真摯な態度で望んでも……
人間が人間で有る限り、リスク・リターンは必ず追求される。
利益を産まないなら、どんな存在でもいつかは切り捨てられる。特に、この業界はそんなものだ……
“売れる”と“凄い”は似て異なるモノだろう。
例えば、俺の隣に居る藤原肇。このアイドルの単純な技量はAランク相当だ。
だが、今現在の知名度は低く、商品価値はあまり高くは無いだろう。
「……………………」
「藤原さん……」
彼女の視線を辿る。1人のアイドル、それに群がるスーツの囲い。
「びっくりです……この様な場所で出会えるとは、思いもしませんでしたから」
固く結んだ口を開いて、重々しく言葉を並べる彼女の瞳には、強い鋭さを感じる。
挑戦者……それも負けず嫌いな、戦う者の目その者である。
「確かに、765のアイドルが来てるなんて思わなかったな……」
星井美希。いわゆる現代のスーパーアイドルの1人だろう。
天才肌で扱いに困っていた時期あったみたいだが、どうやら相性の良いプロデューサーと出会えたようだ。
最近になって急激な発展を見せつけたアイドルの1人だ。
…………っで、例えばの続きだが、もし藤原さんと星井美希が戦えば、場数的な意味合いで敗北するだろう……
だが、先ほど言ったように藤原肇の技量はAランク相当だ。これは身内贔屓を差し引いても確かな事実なのである。
つまり、善戦
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