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遥かなる星の後
第1話 : 天女の導き・前編
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孵ったヒヨコも良いとこの新米だ。
 ちひろさんから貸し付けた高価なスーツで身を包んでいるのに、肝心の中身がこれだからな……


「そうかい、頑張んなよ!古いお偉いさんに芸能界は任せられんからよ!」



 そう言って笑う運ちゃんは、多分ドルオタなんだろ。
 ブロマイド飾ってあったし、ラジオでプロデューサーとアイドルの熱愛報道が流れたら、即座にチャンネル切り替えてたし。
 ちなみに飾ってあるブロマは星井 美希だ。


「はい、頑張ります。この命にかけて……」



 何言ってんの?中二なの?って思われるセリフを吐きながら、運ちゃんと別れてホテルに向かう。
 俺ってば、わりと命張らないと生き残れない所まで来ちゃったの、実は……
 ちひろさんが、何で悲壮感漂う哀れんだ目で見てきたのか。
  何、単純明解な事だ。俺がスカウトに適さないから、違う方法でアイドルを見つけなければならない……それが、悲壮感の正体……



 今から向かう懇親会とは。別名、『引き抜き会』と呼ばれるパーティーらしい。
 懇親会とは名ばかりに、他社のアイドルに直接移籍交渉を可能とさせる、殺伐としたパーティーなのだ……




 つまり、俺。スカウトよりも、遥かに難しい、引き抜きを、やらされるのだ……
 しかも、自社のアイドルを引き抜きから守るオプション付きで……



 え、酷くない?

 ってか、むぅーりー……


 元々は、俺のような新米が向かうべきモノではない、実際に最初は社長が行く予定だったのだ。
 なのに、なんの気紛れか俺にお鉢が回って来たのだ……
 当の社長は『研修終えたんだろ?なら大丈夫だよ、ハッハッハッハ〜』だ、そうだ……
 その時の俺は、多分(・・;)見たいな顔してたんだろうな。
 つーか、研修の時から思っていたけど……うちの社長って、若干詐欺師だよね?
 普段は愉快なオッサンなんだけど……その実、頭の中は何考えてるか判らず。
 ホイホイと安請け合いしてたら、とんでもない事態に投げ出される。



「はぁ……」



 溜め息一つ……


 つきたくもなるよ。つーか、現状が非常に困ってるんだが?
 こんな高級ホテルに縁なんて無いから、勝手が分からずオドオド&キョロキョロ……
 んで、何もしてないのに目付きの怖い警備員が睨んでくる……
 この手の場所の警備員って、マジで怖いんですけど……
 いやはや、俺が困っていると、天女が現れた。




「こちらですよ、船橋さん」



 凛として澄んだ声がかけられる。



「あ……藤原さん」



 白いパーティードレスと、淡いピンクのストールで着飾った藤原さんが、手招きをしてくれてる
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