第1話 : 天女の導き・前編
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う……俺は父親の跡継ぎとして迎えられて、生かされてるのだ。
なら……
余計な機能は排他して、それに特化すれば良い……泣く事は無い。そんな機能は捨てたのだから。
だが
あの日。俺は泣いて家を出た。
『お前は必要ない』
『今からは、分家の養子にだす』
久し振りに会った父親から投げ付けられた言葉に、理解が追い付かなかった……
ただ、父親の跡を次ぐ。それだけの為に生まれて。それだけの為に生かされ。それだけの為に家に招かれた……終始。自分はそれ以外の生き方は知らなかったのだ……
だから……
不意に、自分は何者だと自答し、自分の言葉に解答が帰ってこない。
俺は逃げ出した……
ただの現実逃避でしかないけど、その場から逃げて、現実を受け入れたくなかった……
でも、結局はどこにも辿り着けない。
まるで吹雪の中を走るように……
視界は悪く、足跡さえも消えてなくなる。
もう自分が何処に向かっているのか……何処に戻れば良いのか……それさえも理解は出来ない……
呼吸が出来ない、喉に何かが詰まったように……
視界が歪む、意識を剥がされるよう……
転倒。暗転。
視界は“何も映さない”暗闇。
その時、俺の暗闇の視界に映ったのだ……
真夏の日差しに、一瞬だけ映る蜘蛛の糸のような光をーーーー
それは……遠い遠い光。手の届かない永遠の輝き。
あの時俺はこう思った……
ーーーーー遥かなる星と。
***
光陰矢のごとし……
あれから、もう10数年を経過したのか……
「………………」
「お客さん、どうしたんです?目的地に着きやしたよ?」
「あ、え……あぁ、ありがとうございます」
タクシーの運ちゃんに言われて我に帰り、窓の外に目を向ければ、お高そうなホテルがそびえ立っている。
芸能界の懇親会……
俺が向かってる場所は、そんな目の眩むような未知の場所だ。
「お客さん芸能界関係の人かい?」
タクシーの運ちゃんにお金を払って居ると、そう尋ねられる。
「えぇ、まだ見習いの域ですが……」
本当情けなくも、卵から
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