暁 〜小説投稿サイト〜
遥かなる星の後
プロローグ : 新人には理不尽な難題
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芸能界に入ったんだ。


「よし!頑張るか!」



 なーんて、意気込んで見たけれど……結果は散々だ。
 まず見ず知らずの女性に声をかけるなど、ナンパまがいの行動事態がハードルが高い。
 彼女いない歴=年齢の俺を舐めるなよ?
 そもそもが緊張でひきつる顔と、裏返る声で話しかける男に、良い反応をする女性がいるだろうか?
 いや、いないな!(現在進行系)
 成果を上げられないばかりか、危うく警察を呼ばれかけた事も一度や二度ではない……




「はぁ……」



 どこかにいい女の子居ないかな……?
 若干、獲物を探す犯罪者染みた事を思いながら、辺りをキョロキョロと見回す。

 そう、例えば……


 前方にいる、子犬を抱えた女の子なんて最高だ。
 小柄で頭に可愛らしいお団子を結ってる女の子……


「ん?」


 あの子も何やらキョロキョロと辺りを見渡している。
 探し物……いや、探し者、かな……?


「あ!」


 あ、目が合って驚かれた……ジロジロと見すぎたのか?


「あ、あの!この子の飼い主さんでしょうか?」


 タッタッタと可愛らしい小走りで、こちらに寄ってくる少女は、そう言って子犬を軽く持ち上げる。
 そして、軽く微笑みを向けてくる。絵になるな……写真撮りたい。


「………………」


 正直見惚れていた……その柔らかな笑みに……だが、惚けてばかりも居られない。


「……違うけど、どうしてそう思ったの?」


「こっちをずっと見ていたので、もしかしたらと思って……あ、この子迷子なんです、飼い主さんに心当たりありませんか?」

「いや、しばらくこの場に留まってたけど、分からないな……」

「そう、ですか……」


 シュンとして視線を子犬に落とす。
 自分のペットでもないのに優しい事だ。



「ふむ、迷子ねぇ……ちょいと失礼」


 少女の抱き抱えた子犬に顔を近付ける。
 犬が居なきゃ、俺はただの変態一歩手前だな……


「あの……?」



 まぁ、いい……少し“スイッチ”を入れるか……




「ーーー首輪はしてる。飼い犬だな、生憎と情報は書かれてないか……見たとこ発情期でもないし、恐らくリードが切れた時に何らかの要因で走り出したのだろう……だとすると……飼い犬は子供か老人か体が不自由な人……それに直ぐに追いかけられなかったと考える。首輪のデザインはかなりシンプルなモノだ……まず、デザインから子供は望み薄……体が不自由な人も、そもそも犬の散歩なんて考え難い……なら老人か?……………………うん、だいぶ情報は絞ったな」




 一度“スイッチ”を切る。端
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