オリヴァス・アクト
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滅の黄薔薇《ゲイ・ボウ》だ。その効果は、どんな手段を用いても決して癒えることのない傷を負わせる呪いの槍。
この槍で付けられた傷を癒すには俺を殺すか、槍を壊すしか方法はない。
下手に使うことができないこの槍は、本気で、情け容赦なく人を殺す時にしか俺は使っていない。
「悪いが、お前がどんなけすごい体を持っていても、この槍で傷をつけられる限り意味はない。残念だったな」
「【秘剣】、あとは私が」
どうやら、情報収集はアンドロメダがやってくれるようだ。正直、俺だと逆上させるばかりでろくに聞けやしないから、助かるっちゃたすかるが。
歩み出てきたアンドロメダとバトンタッチして俺は後ろに下がる。
「……貴方は、闇派閥の残党なのですか?」
それを皮切りとした質問に、オリヴァスはこちらを睨みながらも憎々しげに答えていた。
曰く、自分は闇派閥などという残り滓ではないと
曰く、ここは深層のモンスターを増殖させ、地上へ運ぶための中継地点であり、モンスターを産む苗花だと
そして曰く、その目的は迷宮都市を滅ぼすことだと。
『彼女』のためならば、『彼女』の願いであるならば、私はそれを叶えようと。
狂ったように語る男はまるでその『彼女』とやらの狂信者のようだ。
「『彼女』が私の全てだ! ゴハッ!?」
吐血しながらも断言するオリヴァス。
「御託はいい」
不意にローガが唾を吐いた。
「とにかくてめえは大人しくくたばれ。……もう碌に動けねえはずだ」
心底くだらなそうに、不遜に告げると、獣のような眼光を向けた。
そう、今のはただの時間稼ぎだ。
必滅の黄薔薇でつけた傷の他にも、ローガ達が負わせた傷の治癒に多大な生命力を使ったのだろう。
もはや、もう元のようには動けない。
「確かに」
だが、そんな指摘をされたにも関わらず、オリヴァスは不適な笑みを作った。
「この傷もある。貴様の言う通り、今の私は碌に動けん」
ーー私はな、とオリヴァスは笑みを深めた。
「やれーー巨大花」
直後、背後の石英から赤光が揺らめいた。柱に寄生していた三体のうち、一輪の巨花が咲いた。毒々しい花弁を向け、その体を柱からベリベリと引き剥がす。
「うっわ、臭っ!?」
そさて、とてつもない死臭
頭上から巨大な体が重力に従って降ってきた。
「ーー散れっ!!」
ローガの激声が響く。
その声に動かされた誰もがその場から駆け出した。俺も距離をとる。
黒影から逃れ、オリヴァスもまた横にとんで範囲外へと脱出。
間もなく、恐ろしいほどの質量を持った
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