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ダンジョンに転生者が来るのは間違っているだろうか
オリヴァス・アクト
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んねえが、殺すつもりでブチ抜いてやったぞ」

今の一撃で効果をなくしたのか、ローガのブーツは元に戻っていた。

レフィーヤもあの男がどうなったのか気になるのか、視界を遮る灰の霧に視線を向けていた。

「ーーっ」

灰煙が途切れだす頃。
固唾を呑んで見守っていた者達の体が、揺れた。
煙の奥で影が浮かび上がり、ゆっくりと這い出てくる。

「化け物ですか……」

アンドロメダが目を眇めた。

白ずくめの男は全身をボロボロにしながらもちゃんと生きていた。
ローガの蹴りを受けた体の損傷は激しく、右腕は切り落とされ、その断面には焼き焦げた出血の跡が残っている。
戦闘服(バトルドレス)も破け、血肉を晒していた。

「……惜しかったが」

男の口が動いた

「『彼女』に愛された体が、この程度で朽ちるわけがない」

唇が避けんばかりに吊り上がった、その時。
男の傷口がゆっくりと塞がっていく。

「えーー」

レフィーヤの声が漏れた。
回復魔法が発動しているわけでもない。ということは、あれは自己再生か何かなのだろう。
体中からうっすらと立ち上る蒸気のようなものは『魔力』なのだろうか。
一同が声を失うなか、男が顔をあげた。

「なっ……」

フィルヴィスさんが声をあげた。みると、彼女は驚いたようにして、男の顔を見ていた。

「フィ、フィルヴィス、さん?」

「……どうして」

愕然と立ち尽くすフィルヴィスさんの雰囲気にレフィーヤが戸惑いの声を発した。
レフィーヤが見つめるなか、フィルヴィスさんの唇が動いた。

「オリヴァス・アクト……」

それが男の名前なのだろうか。ということは知り合いなのか?
俺が疑問を浮かべる中、その名を聞いた者達は目の色を変えた。
混乱がざわめきとなる。

「オリヴァス・アクトって……【白髪鬼(ヴェンデッダ)】か!? 嘘だろう!?」

ルルネが悲鳴に近い声をあげて男の顔を何度も見た。
残念ながら、俺はその名前を知らない。聞いたことがない。俺が転生する前の人なのだろうか。

「だって、だって【白髪鬼(ヴェンデッダ)】は……!?」

どうやら、状況に追い付いていないのは俺だけではないらしく、レフィーヤもまた挙動不審になりながらも周囲の者達の顔を見回していた。
そして、茫然自失だったアンドロメダが、耐えきれないように歓呼した。

「馬鹿な、何故死者がここにいる!?」

張り裂けるような声が響いた。
思わず、俺もぎょっとしてオリヴァス・アクトと呼ばれた男に視線を送った。

「し、死者って……?」

「オリヴァス・アクト……推定Lv3、【白髪鬼(ヴェンデッダ)】の二つ名を付けられた賞金首。既に主神は天界に送還され、
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