第24話
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せん。いくら周瑜様でも……」
孫呉の陣営では異様な光景が広がっていた。日が沈み始めていたため、そのまま広宗で一夜過ごし明日出立する手筈なのだが――本来手厚く守りを固められるはずの天幕に護衛の姿が無い。それどころか皆、その天幕を避けるようにして動いていた。
「これはまた。……随分荒れたようだな雪蓮」
「……」
天幕の中に入り孫策に話しかけるが彼女の目は虚ろ、中はそこらじゅうが彼女の獲物『南海覇王』により切り刻まれていた。
時を少し遡る。
「良くやったわ! 思春、明命、貴方達は孫呉の誇りよ!!」
「勿体無きお言葉」
「わわわ、ありがとうございます!」
黄巾達との戦が終わり、張角の首を持ち帰ることに成功した二人を労っていた頃だ。
「失礼致します! 袁術様の兵がお見えになっていますが……」
「……なんですって?」
孫策の顔が一気に険しくなる。実は孫呉の軍に僅か千人余りの袁術軍が追従している。
張角討伐による名声のため、孫策は自分達を客将として使っている袁術――と言うよりは張勲に許可を貰う必要があった。
『ん〜そうですねぇ、条件がありますが良いですよ』
『……なにかしら?』
力の抜けるような声色から発せられる『条件』と言う言葉に警戒心を露にする。
今までも散々この女に利用されてきたのだ。また悪巧みをしているのではないかと、警戒していたが――
『そんな難しいものではありませんよぉ、私達の手勢を少し連れて行って欲しいのです』
張勲が言うには勅旨を出した朝廷に『義理』を果たしたいとの事。重い腰を上げることの無い袁術陣営は形だけでも張角討伐に動いたことにしたいらしい。
指揮は孫策達に一任され、兵糧も余分に用意してくれるともあって、この提案を二つ返事でうける事になった。
しかし、広宗に辿り着く前に後悔する事なる。
目に付いたのは袁術軍の錬度の低さだ。常日頃鍛練に励んでいる孫呉の兵達とは違い。大した訓練をしたことが無い彼等は新兵の方が良いのではないか? と孫策が真顔で言えるほどだ。
これでは黄巾達との戦いのときに足を引っ張られる可能性が高い。故に孫策達の満場一致の意見により、彼等は戦には使わない。文字通り案山子――否、兵糧を消費する分、案山子にも劣る存在と成り果てていた。
そんな袁術の――張勲の手勢が今更なんの用だろうか、二人の労いの場を邪魔された気分に陥った孫策は、話を聞くため中に入れるように指示を出す。
追い返そうとも思ったが、そんなことをしては何をされるかわからない。さっさと話しを聞いて今後の打ち合わせをしなければ――孫策は半ば強引に思考を切り替えた。
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