第24話
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もしれないのに…………私は」
「謝るべきは私です!」
「……稟?」
華琳の謝罪を遮るようにして郭嘉が声を上げる。彼女にも反省しなければいけない事があった。
華琳から此度の策を聞いた彼女にはある懸念が存在した。それは自分達以外に実を取るかもしれない勢力、袁家の参戦。
本来であれば袁家は受け入れた難民達の対処で忙しく、此方に構っている余裕などないはずだ。
参戦の可能性は限りなく低い。しかし無ではなかった。
郭嘉は軍師として、最悪の事態 に備えるために更なる上策が必要になると考えていたが……彼女は進言できない。
華琳の下について日は浅いが主の気質は理解している。自身の考え、信念、やる事成すこと全てに自信の高さが窺え、又それが主の魅力でもあった。
口出しする必要は無い。そう考え主に与えられた任『だけに』固執したのだ。
「貴方も私も、まだまだと言う事ね」
「はい。ですが―――」
「?」
「華琳様の策は、無駄にはなりません」
柔らかい笑みを浮かべて語る郭嘉、彼女の視線の先には余り食事に手をつけず。神妙な顔つきで下を向いている黄巾の一団に注がれていた。
そもそも郭嘉が華琳の策に対して進言しなかった理由の一つに、策の完成度の高さが存在していた。未来の覇王が編み出した策は、袁紹達の財力をも駆使した策に確かな爪あとを残したのだ。
結果、黄巾十八万のうち『安寧』を求めた十五万の農民達は袁紹に、『変革』を求めた三万は華琳に付いて行く事となった。
数だけで見れば袁紹の一人勝ちである。しかしそれ以外、質ではどうか―――
袁紹に追従した者達は殆どが農民、武の欠片も無い非戦闘員に近い人員だ。
対する華琳に追従した者達は――元盗賊、漢王朝に恨みに近い不満を持ち、黄巾の中では常に最前線で官軍と戦っていた。言わば精鋭達である。
正規の軍に比べれば確かに質は劣るだろう。しかし武の下地が出来ている彼等は、扱い方さえ間違えなければ強力な戦力に変貌するはずだ。気性が荒く手綱を握るのに苦心するだろうが――規律を重んじる曹操軍であれば問題無く取り込めるだろう。
こうして黄巾の乱は、孫呉が花を、曹操が実を、袁紹が花と実の両方を手に入れ終息――したかのように見えた。
各軍が引き上げていく中、孫呉の陣営は天幕すら片付けていなかった。
「孫策の様子はどうだ?」
「ハッ、大分落ち着いた様ですが……」
周瑜の問いに兵士が答える。その視線は孫策がいる天幕に注がれている。
「いつまでもこうしてはおれぬ、私が様子を見てこよう」
「な! き、危険です!! あのような孫策様は見たことがありま
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