10 最後に残ったもの
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「え・・・?」
俺も、ナツも動けなかった。
「ヒュウ・・・どうして・・・」
「決まってるだろ?復讐だよ」
「は?」
彼は今確かに復讐だと言った。なぜヒュウが・・・という問いも考えてみれば分かる話だった。
「俺の姉貴はこいつらに殺されたんだよ。覚えてないだろう、POH」
答えを聞くでもなく、ヒュウは淡々といった。
「ずっとこの機会を待ってたんだ。何日も何日も・・・」
だから、
「やっとこの機会が来てうれしいよ。POH」
彼は少なくとも俺が見た中で一番の笑顔をしていた。
「死ね」
いっそ朗らかにそう言い放つと、ヒュウはPOHの首を跳ね飛ばした。
その瞬間POHの体はあっけなく四散した。・・・暴虐を尽くしてきたPK集団『ラフィンコフィン』
の首領は今、たった今この世を去った。
ポリゴンが消え去ってもしばらくは誰も動けなかった。
最初に動いたのはヴォルフだった。
「貴様っ!!」
そういうと持っていた刀をヒュウに振り下ろした。
ザシュッ!
その音は動けなくなっていたこの場を、そして俺を突き動かした。
「う、おおおおおおおおおっっ!!!」
無我夢中で、ヴォルフに俺は剣を振り下ろし、袈裟懸けに斬った。
さらにそこから剣を翻し下から上に向かって斬った。
直後にナツが、ソードスキル『ヴァーチカルスクエア』を発動させ、ヴォルフのHPを確実に削り取っていく。
最後の一撃。
それと同時にヴォルフのHPも全部削れ、最後に一言
「人・・・殺し・・・」
と呟いて体をポリゴンに変え、四散した。
数秒の静寂のうち、俺は慌てて、
「ヒュウ!!」
と叫んだ。
その体はぐったりと横たわっていたものの、
「聞こえてるよ。うっせえなあ」
と以外に元気そうだった。
「回復結晶は!!」
「つかった。って言うかお前が過保護なんだよ。バーカ」
こいつはぁぁぁぁぁ・・・
「心配していることぐらい分かれ!!」
思わず大声で叫んでしまう。が、ヒュウは
「気づいてるよバーカ」
と相変わらず腹立つような喋り方をする。
「ったくもおお・・・」
心配と言えばもう一人。さっきから全くしゃべっていないナツに声をかけた。
「ナツ?大丈夫か?」
「・・・・・」
ごにょごにょと何かしゃべっているが、全く聞こえなかった。
「ナツ?・・・おいナツ!!?」
「怖い・・・」
俺は黙ってナツの呟きを聞き取ろうとするが、うまくいかない。
「・・・した・・・ころした・・・」
突然ナツが壊れた。
「殺した殺した殺した殺した殺した殺した・・・・」
どこで息継ぎしているのか分からないぐらいずっと繰り返す。
そして、
「もういやだ・・・」
というと急にばたっと倒れた。
ヒュウは、そして俺は、動
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