六十五話:ユリウス・ウィル・クルスニク
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、さらには拳からは黒い雷が噴き出て来て禍々しさを増していく。
間違いなく先程自分達を瀕死に追いやった『剛絶拳』だと確信したルドガーは恐怖から急いでその場から引こうとする。
だが、ユリウスはその場に立ち止まり無骨な鎧姿の背中をルドガーに見せていた。
何事かと思うルドガーに対し、ユリウスは顔だけ骸殻を解除し振り向きざまに告げる。
「ルドガー―――ついてこい!」
「っ! ああっ!」
その言葉にルドガーの中の恐怖はあっという間に打ち消されてしまう。
この人と一緒にいれば絶対に負けない。
憧れの人とようやく肩を並べることが出来たのにこんなところで引くなんてもったいない。
そんな余裕すら生まれて来た心でルドガーはここで決めることを誓う。
「行くぞ、ルドガー!」
「行くよ、兄さん!」
二人は同時に踏み出していく。ビズリーの秘奥義は強力過ぎる程に強力だ。
だが、どんな技にも欠点という物が存在する。強大な力を振るう前には必ずタメを作らなければならない。
その間は自然と無防備になるのだ。それが唯一の弱点にして兄弟にとっての突破口だった。
ルドガーは武器を槍から巨大な双剣に持ち替える。ユリウスに合わせるためだ。
実は二人は技を一度たりとも合わせたことは無い。
勿論ユリウスがまだ、ルドガーが未熟だった時に剣技を教えるために合わしたことはあるがお互いが全力で合わせたことはなかった。
だが、二人のイメージに失敗は無い。必ず成功すると確信していた。
理由は簡単。二人は―――兄弟だから。
「祓―――」
「砕―――」
『斬―――!』
二人はお互いに閃光のような速さでXを描く様にクロスしながらビズリーを切り裂く。
それを、歯を食いしばって耐えるビズリーだがそこに刃を返すように再び兄弟の刃が襲い掛かって来る。
初めてビズリーの鎧が欠けるがビズリーとしては自身の秘奥義を完成させさえすれば勝てるために動くことなくエネルギーを溜め続ける。
だが、兄弟とてその事は分かっている。
確実に父親の息の根を止めるために滑るように近づき同じように剣を振り始める。
一切の無駄なく抵抗を極限まで減らしたうえで縦に横に、斜めに容赦なく相手を縦横無尽に斬りさかんとする技。
兄が編み出し、弟が受け継いだ奥義。
それを全力で父親にぶつけていく。しかし、無と無限を宿す彼を倒すには力が足りない。
「どうやら、運がなかったようだな」
『くっ!』
まるでニヤリと笑っているかのような声に二人は同時に悔しそうな声を漏らす。
それでも腕は、体は動き続ける。こんな所では終われないとばかりに。
そんな二人の元に“赫い”弾丸が飛んでくる。ユリウスは一瞬避けそうに
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