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ルドガーinD×D (改)
六十五話:ユリウス・ウィル・クルスニク
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せながらも力強く頷くアーシアに全幅の信頼を置き、ルドガーは争い合う兄と父の方に目を向ける。
 フル骸殻に至ったユリウスはビズリー相手に善戦しているが圧倒的な力を持つビズリー相手ではいささか分が悪い。
 このままでは負けてしまうだろう。ルドガーはそこまで考えて自身の真鍮の懐中時計を手に取る。

「ルドガー……」
「黒歌……行ってきます」
「行ってらっしゃい……」

 ルドガーは膝をつき、まだ血糊が残る黒歌の手に軽く口づけをする。
 そして、時計を構えてその姿をフル骸殻へと変えて加勢するためにユリウスの元に駆けよっていく。
 その後ろから掠れた声で誰かが『まだ……終われない』と呟いていたがそれを気にする余裕はルドガーにはなかった。
 駆け寄ると同時にユリウスに迫っていたビズリーの剛拳を槍で弾き返して驚くユリウスをよそにその隣に立つ。

「ルドガー! もう、骸殻は使うな!」
「嫌だ! もう、俺は守られる側から守る側になったんだ。自分の守るべきものは自分の力で守る!」
「だが、お前は既に時歪の因子化(タイムファクターか)が始まっている。これ以上骸殻を使えば、お前は―――」

 そこでユリウスが言葉を切る。
 お互いに顔は見えないが弟が真剣な目で自分を見ていることが分かったからである。

「兄さん、分かっているんだろ? どちらか片方だけの力じゃビズリーには勝てない。でも、力を合わせれば勝てるかもしれない」
「かもしれないじゃあ、信用は出来ないな」
「じゃあ、勝つ」
「はぁ…お前は昔からそうと決めたら引かないよな。まったく……誰に似たのか」
「自慢できる兄貴に似たのさ」

 その言葉に二人は軽く笑い合って横一列に並び立つ。
 ユリウスはいつも弟の前を歩いてきた。常に弟を守る為に自らが盾になるように前に立ち続けた。
 ルドガーはいつも兄の後ろを歩いてきた。常に兄に守られるように後ろを歩いてきた。
 だが、今この瞬間、二人は肩を並べて立っている。
 どちらかが片方を守るでもなく、どちらかが片方に守られるでもなく。
 対等な存在として肩を並べているのである。

「―――ついてこれるか?」

「誰に言ってるんだ。俺は兄さんの弟だぞ」
「ふっ……そうか。なら―――飛ばしていくぞ!」
「ああ!」

 兄弟は何年も合わせてきたかのように全く同じタイミングで踏み込んで敵に向かって行く。
 その様子にビズリーは嬉しいような悲しいような複雑な心境になるが体は心とはかけ離れて冷徹に動き始める。
 容赦なく息子達の首をへし折るために強烈な手刀を繰り出して来る。
 兄弟はその手を片方が防ぎ、もう一方が攻撃を加えていく。
 まるでカウンターを食らわせられているかのような完璧なコンビネーションに思わず舌打ちがこぼ
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