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鐘を鳴らす者が二人いるのは間違っているだろうか
15.表は白く、裏は黒く
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ま帰ってこなくなってから、ベルはリングアベルに毎日稽古をつけてもらった。こんな風に人にものを教わるのは死んだ祖父以来だなぁ、としみじみ思った。
 槍を持ったリングアベルと戦ってはリーチの差で負け、長物のいなしかたを習う。
 剣を持ったリングアベルと戦っては技量の差で負け、リーチの長い相手との間合いの取り方を習う。
 そして弓を持ったリングアベルと戦っては、弓の扱いがなってないと逆にベルが使い方を教える。

 リングアベルは何でも出来るようでいて、たまにおっちょこちょいな部分を見せる。尊敬できる先輩のようでもあり、同年代の友達のようでもある絶妙な距離感がベルには心地よかった。そこにヘスティアが加わると、子供のようなはしゃぎ方と神としての顔のギャップがあって更に楽しい。

 オラリオで突然強引にスカウトされたときにはどうしようかと思ったが、2人とも想像以上に精神年齢はベルに近くて、いつも親身に接してくれた。祖父以外に家族がいないベルにとっては正に本物の家族のようだった。

「でも、その家族と二人とも別れると……何だか寂しいなぁ」

 その日、一緒に「怪物祭」を見に行かないかと提案してみると、リングアベルは先約があるとのことで普通に断られてしまったのだ。考えてみればモテ男のリングアベルなのだから予定が入っていてもおかしくはないが、ベルが一人っきりで行動するのはファミリア探し以来であり、妙に心細い。

 しかも心細いついでにさっき『豊饒の女主人』のアーニャとリューに「シルに財布を届けてくれ」という雑用まで押しつけられてしまった。いや、シルさんが困っているかもしれないと思うと確かにそれは重要なことなのだが、それにしたって家族同然の二人がいないというのが寂しい。とても寂しい。

「せんぱぁ〜い………かみさまぁ〜………心細いよぉ〜………」
「そんなに寂しがるなよベイベー!神様なら君の後ろにいるぜーベルくぅぅ〜〜ん!!」
「へ?わぶっ!?」

 突如背後から掛かった聞き覚えのある声と共に、ベルの背中を衝撃が襲う。そのまま前のめりにスッ転んでしまったベルが慌てて振り返ると、そこには我らが主神であるヘスティアが満面の笑みで待っていた。

「かっ……神様ぁぁぁ〜〜〜!!もう、今までどこに行ってたんですか!?寂しかったですよぉぉぉ〜〜!!」
「ボクもだよベル君!もう家族に会えなさ過ぎてこの大きな胸が張り裂けるかと思ったくらいだよ〜〜っ!!」

 ひしっ!!と抱き合う二人。公衆の面前でマイペースな奴等である。
 周囲もそんな珍妙な二人を奇異の目で見つめているが、気にした様子は全くない。
 ベルは寂し過ぎていたせいか母に甘えるようで、ヘスティアもヘスティアでベルに頬ずりして「ベル君成分」なる謎の物質を補充してご満悦である。マイペースす
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