1部分:第一章
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彼には才があり王に認められ着実にその地位をあげていった。しかしであった。
ある日のことだった。王は機嫌のよさげな様子で周りの者に言うのだった。当然ながらそこには李斯もいた。そのうえで彼の言葉を聞いた。
「わしは素晴らしい書を読んだぞ」
「書をですか」
「法家の書じゃな」
まずはこう話した。
「あれはのう」
「法家のですか」
「そうじゃ。法家の書でな」
またこの話をする。
「数冊あったがのう」
「それを書いた者の名は」
周りにいた一人がまず問うた。
「どういった者でしょうか」
「韓非といったな」
「韓非子」
その名を聞いた李斯は思わず声をあげた。これが過ちであった。
「韓非ですと」
「むっ?李斯」
当然ながら王の耳にも彼の言葉は耳に入った。そのうえで彼に顔を向けてきた。
「知っておるのか?」
「それは」
「申してみよ」
その切れ長の冷酷な目に見られそのうえで狼の如き声で言われれば逆らうことはできなかった。この王には恐ろしい力があるかのようだった。
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