第七十話「狂気」
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ードで駆け出す。
あっという間にブランクの目の前まで移動し、ダッシュの勢いを殺さずに蹴りの態勢に入る。
このまま超高速の蹴りを見舞い、ブランクの頭を砕いて終わり。
そんなヴァルゴのビジョンは容易く崩された。
「え?……はぁ!?」
超高速の蹴りは、紙一重で避けられた。
直撃する寸前で、首を絶妙な角度とタイミングで捻り、掠るギリギリのところで回避した。
あり得ない。
今の蹴りの速度は、「適合者が視認できるギリギリの速度」だ。
直撃する寸前で回避できるようなものじゃない。
蹴りを回避したブランクの眼はギョロリと見開かれ、一点を見ていた。
目線の先には、修復しかけのヴァルゴの左腕。
脚にコープスを集中させた状態だったため、修復しかけの左腕の回復力が落ちている。
そんな時に、蹴りで反撃しようとしたのがまずかった。
ヴァルゴは再び、ブランクに恐怖した。
口が裂ける勢いで、ニタリと笑っているのが見えたから。
不気味な笑顔のまま、ブランクはヴァルゴの左腕を"喰い千切った"。
「痛づ!!??」
今まで味わったことのない激痛に、ヴァルゴは苦悶の表情を浮かべる。
一方でブランクは、喰い千切った際に口に入ったヴァルゴの左腕の肉を、獣のような形相で咀嚼する。
千切れた左腕はブランクの右腕に握られていた。
咀嚼した肉片を飲み込んだブランクが、狂ったような笑顔で静かに口を開く。
「俺が……守ル………おレが…………殺す……あハッ、はハハっ……ハハハは歯ハハは刃はハハ………」
笑い声とともに、ブランクの左脚と右腕が"硬化した"コープスに覆われ始めた。
狂気に、飲まれ始めた。
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