第二百十六話 慶次と闇その十
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「また出て来るっていうし」
「その時だな」
「その時に色々わかればいいな」
煉獄も二人の話を受けて言う。
「それ待ちだな」
「そうでやんすね」
「結局のところはな」
煙と拳が煉獄のその言葉に頷いた。
「じゃああっし等はあっし等で」
「己のすべきことを果たそう」
「それしかないね」
大蛇もこう言う。
「上様をお守りしよう」
「ああ、そうするか」
煉獄もこの結論に達した、そしてだった。
飛騨者達はあらためてだ、慶次に言った。
「じゃあ今日は」
「これでだね」
「うむ、またな」
慶次もこう答えた、そうしてこの日は別れてお互いに休んだ。この時松永は安土の己の屋敷にいたがそこにおいてだった。
彼等にだ、こう言われていた。
「では、ですか」
「いよいよですか」
「時が来れば」
「その時は」
「そうするとしよう」
家臣達にも言う。
「九州攻めの時にな」
「数年後ですが」
「ようやくですな」
「殿も腰を上げられますか」
「ご自身の果たすことをされますか」
「いよいよ」
「仕方あるまい」
これが松永の返事だった。
「わしもな」
「はい、血族ですから」
「それも十二家の主のお一人です」
「それならばです」
「果たされなければなりません」
何があろうともというのだ。
「ですから」
「それでじゃ、わしもじゃ」
松永もというのだ。
「果たす」
「では」
「その時は我等もです」
「及ばずながら」
「殿と共に」
「頼むぞ、ではな」
松永は顔は確かだ、しかし声は。
何処か虚ろだった、だが彼の家臣達は彼の言葉自体に喜んでいてその声の色までは気付いていない。そのうえでだ。
彼等にだ、こうも言ったのだった。
「御主達にも頼む」
「この命殿に預けます」
「その時はです」
「そしてです」
「ことを成しましょうぞ」
「御前もじゃな」
ここでまた言う松永だった。
「このことをお知りになれば」
「はい、お喜びになられます」
「間違いなくです」
「あの方もまた」
「待っておられましたし」
「ですから」
「喜ばれます」
家臣達は松永に対して答えた。
「今か今かと待っておられましたし」
「御前は気を焼いておられました」
「それがいよいよですので」
「早速お話しましょう」
「ではな、数年後じゃ」
信長の九州攻めの時にというのだ。
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