入学編
ターン1 生き返って、入学試験
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「じゃあ………頼んだぞ。俺のデッキのこと」
「わかってる。一緒に頑張らせてもらうよ」
「ああ。………そんじゃ、俺はしばらくお前の中に引っ込んでるとしようかね。ま、案外もう二度と会うことがないかもしれんが」
じゃあな。そう言って、目の前の少年は霧になって消えていった。
「つくづく、嘘みたいだ……」
でも、僕の手には確かにデッキがある。だから、これは夢でもなんでもないんだろう。多分。
…………僕の名前は、遊野清明。今年デュエルアカデミアの入学試験(筆記)を受けて、今日が実技試験だってのに電車が事故起こしよったせいでヤケになって自転車で飛び出して、それで――――――――――車にリアルダイレクトアタックされて、死んだ。笑うに笑えないね、うん。でもその時に、『全く同じ日付の』、『同じ時間に』死んだ子がいたらしくて、そいつも決闘者だから、っていう雑な繋がりで………僕は、生き返った。
正確には『死にかけの魂二つを足して二で割った』らしいけど、まあ難しいことはいいんだ。とりあえず、まだ生きてデュエルできる。それでいいんじゃない?………って、その僕の魂の半分になった奴に言われた。まあいっか、そんなもんで。それにほら、あれだよね?『この世界(=遊戯王)ならよくあること』ってやつだよね?いや、意味はよくわかんないけど。アイツのいた世界なら、とりあえずそう言っときゃだいじょーぶな魔法の言葉らしい。
そして、それがつい10分前のこと。ただいま、壊れた自転車を押しながらアカデミア試験会場前にたどり着いたところです。
「って、受付さんもう片付けしてるじゃん!?わーわーわー!!待って待って待ってくださいっ!受験番号92番、遊野清明ただいま参りましたっ!」
大声で怒鳴ると、気づいてくれた黒服の人が急いだ様子で叫び返してきた。
「今も110番の生徒が駆け込みで入ってきたところだ!遅刻については『時間ぎりぎりに到着した』ということにしといてやるから、早く行くといい!!」
「ありがとうございます!」
叫び返して中に入ると、その110番がちょうどデュエルを始めたところだった。
経過については省略。フレイム・ウイングマン………カッコいいな。と思ったとだけ述べておく。さて、今度は僕の番だ。
「全く、今年〜の受験生に〜は、危機感というものがないんです〜か?二人も遅刻ギリギリにやってくるな〜んて、前代未聞ナノーネ!」
「す、すいません………」
返す言葉もないので、素直に謝る。こればっかりは、ねえ?
「まあいいでしょう。それでは受験番号92番、このクロノス・デ・メディチが相手になるノーネ!」
「はい!よろしくお願いします、先生!」
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