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宝物とは
1部分:第一章
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調で口を開いたのだった。
「それではだ」
「何か考えが」
「宝物庫を調べてみよう」
「あそこをですか」
「時代はわかっているのだな」
 また年代について尋ねてきた。
「それは。そうだな」
「はい、それは」
 このことに関してはもう返答は先程に述べた通りであった。ジュゼッペの声にも淀みがない。
「既に」
「なら話は簡単だ。十一世紀の宝物庫だ」
「そこを調べるのですか」
「わからないのはそれだけだな」
「はい」
 このことも既に答えが出ていた。本当にそれだけだったのだ。
「他はもう。何を入手したのかは」
「全てわかっている。では話は解決したも同然だ」
 素っ気無くとさえ聞こえるまでにあっさりと言ったカルロであった。そしてまた言う。
「それではだ」
「では早速宝物庫を」
「そうだ。家の者で今暇な者を集めよう」
 決断すればもう行動は速かった。この迅速さが彼の売りであり今までこれで多くの財を為してきているのである。彼にはそれなり以上の才覚があるのだ。
「いいな。それで」
「はい、わかりました」
 ジュゼッペも父の言葉に頷く。こうしてすぐにその当時の宝物庫が大々的に調べられた。やがてその中から一つの黒い箱が出て来た。鉄の大きな箱であった。
「これみたいですね」
「これか」
「ええ、間違いありません」
 ジュゼッペとカルロがあちこちに蜘蛛の巣があり埃っぽい部屋の中で箱を前にして話し合っていた。二人の後ろには数人の家の者達がおり二人も彼等も埃にまみれていた。そして彼等の周りには様々な壺や宝石や剣やそういった宝で一杯だった。まさに宝物庫であった。

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