異伝:自ら踏み外した崖へ 後編
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-008は選んだ。
最期に、私の身体を抱きしめて――
貴方の存在を感じさせながら――
――永眠らせて――
「お休み。良い歌だったよ」
「お休み。出会えてよかった」
俺は、名前も知らない少女と一緒に、二度と戻ることのない、永遠い河の辺へ――飛び出した。
= 時は進み、ALO =
「……筈だったんだがな。何をどう間違ったのか皆目見当がつかん」
「まぁ、ちょっとは分かるよその気持ち」
頭の上にちっこい妖精を乗せた客、レクルスの愚痴に、俺は人の頭の上に自分の頭を乗せて遊ぶユウキを支えながら返事した。彼も色々心苦労があるらしい。俺も知らない間に人を助けて色々あったからね。
レクルスの頭の上にいる妖精――アイナを名乗っている――は、どことなくご満悦そうにレクルスの頭ベッドの寝心地を楽しんでいる。毛並検定6段(ユウキの判定である。7段が最高で、それが俺らしい)のベッドはさぞ寝心地がいいだろう。AIに寝心地とか感じられるのかは分からないが。
「で、何で生きてたん?」
アイナがゴロゴロしながら答える。
「それは、落ちた瞬間にSAOがクリアされて、カーディナルの支配が一時的に消えたから。二人とも助かるチャンスだと思ってレクルスを保護するついでに自分のデータをプログラムに変換してナーヴギアの中にこっそり隠れたの。その後復活できるかは分かんなかったけど……ふふっ♪」
つまり、そういうことらしい。意識回復後、リアルの方のレクルスは政府のお役人に見つからないようこっそり自分のナーヴギアをパクり、問題になっていない事を確認してから家へ持って帰り、懲りずにALOにチャレンジ。するとゲーム開始と同時に見覚えのあるちびピクシーが!……である。
「わぁ〜、逞しいねアイナちゃん!ユイちゃんが聞いたらびっくりすると思うよ!」
「ユイ?ええと………試作一号機のこと?」
「多分それ!アイナちゃんと同じく元MCPだよ!友達の所にいるの!!」
「というかおいアイナ。お前ナビゲーション・ピクシーなのに何で人の頭の上で遊んでる?」
「ここがレクルスの心と一番近い気がするから……レクルスの心は私の心。だから離れるのはイヤ」
ひしっとレクルスの髪の毛を掴んでポジションを保持するアイナ。ここがいいのと言わんばかりの圧力である。毛根弱るからやめなさいって言おうと思ったけど、そういえばここゲーム内だった。レクルスの髪の将来は守られたようだ。
「愛されてるなぁ」
「愛されちゃってるねぇ、レクルスさん!!」
「レクルスの居ない世界なんていらない……レクルスだけいればいい」
「……こいつ若干病んで
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