追跡
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うとする
「アイズの居場所なら多分ーー」
「私に触れるなっ!!」
一閃
フィルヴィスさんの体が鋭く翻り、抜剣、白刃を勢いよく振るった。
甲高い金属音が響き渡る。
立ち尽くすレフィーヤと俺の前で切り払われたフィルヴィスさんの短剣。
ローガは腕につけた手甲で、危うげなくその攻撃を弾いていた。
「あァ?」
ビリビリと今も震える手甲を下げて、ローガが殺気を纏った。顔の刺青も怒りで歪んでいる。
これは……想像以上にヤバイな
一触即発の雰囲気に俺は危機感を感じた。
特にフィルヴィスさんだ。エルフは認めた相手でなければ肌の接触を許さないと言われているが、これは少し行き過ぎている。相手が第一級冒険者だったからよかったものの、相手が違えば怪我を負い、下手をすれば死んでいたかもしれないのだ。
……やっぱり、かなり気にしてるんだろうな……
『死妖精』。パーティ殺しのフィルヴィス。他派閥であれ、自派閥であれ、パーティ組めば彼女を残して全滅する。
縁起でもない話だ。だが、だからこそ、冒険者の間で噂が広まるのは早かったらしい。ラッカルさんはそんなことを言っていた。
必死にローガを説得し、フィルヴィスさんを擁護するレフィーヤ。そんな様子を一人で眺めながらそんなことを考えていた。
「それにしたって過剰だろ。どうかしてんじゃねーか。……それと、そこの紫野郎」
「……それは俺のことか?」
「は? 他にいねーだろうが。さっきアイズがどうとか言ったな。どう言うことだ?」
この狼、人の名前を覚えるのが相当苦手とみた。さすが、狼。知能レベルも野生か。
相変わらずの偉っそうな態度で、おら、話せと促してくるこいつをいつか切り刻むと決心しながら、俺は先程の続きを話す。
「アイズだったら、恐らく食料庫だ。このところのモンスターの大量発生はそこが原因だ。昨日なかを見たが、黒幕みたいな男もいたしな」
「……決まりか。行くぞ」
「ちょっと待て」
早速向かおうとするローガを呼び止める。
「その前に、フィルヴィスさんに聞きたい。それだけ拒絶するのは『死妖精』と呼ばれていることに関係するのか?」
「っ………」
「え、あの、それってどう言うことですか?」
俺とフィルヴィスさんを交互に見ながら、レフィーヤが疑問を口にした。
「……話なら行く途中でしてやるよ」
「はっ、話してる暇なんざあるなら、足を動かせ」
「安心しろ」
鼻で笑うローガを横目に、俺も階層中央へ向かう。
「話ながら移動できる方法があるからよ」
恐らくだが、食料庫じゃ戦闘になるだろう。その時に連携がうまく働かな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ