暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルな世界に『パッチ』を突っ込んでみた
第十八話
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
エルシードを・・・七個も持ってる・・・!?あの暴走体が・・・!?」

 ユーノは、葵の言葉に戦慄した。ジュエルシードという規格外ロストロギアを七個も持ち、自分を囮にして葵に攻撃をするほどの知能を持つ、全長何百メートルあるのかも分からない暴走体。おまけに、取り込まれたジュエルシードが、その巨体の一体どこにあるのかも分からない。一体、そんな化物にどうやって勝てというのだ。

 ユーノは自らの罪を今までよりもハッキリと感じた。自分のせいで、この次元は消滅する。今目の前で死にかけている葵と同じように、この世界の全ての生命を、ユーノ・スクライアの過失のせいで死なせてしまうのか。

(僕が・・・殺してしまうのと同じじゃないか・・・!!!)

 葵だって、ジュエルシードなどと関わらなければ、トラック事故という有り触れた事件(・・・・・・・)死ねた(・・・)のではないか?生きたまま腕と足をもぎ取られるなんて残酷なことをされずに、普通に死ねた(・・・・・・)のではないのか?

 こんな考えが頭を巡り、ユーノは目の前が真っ暗になるのを感じた。




★★★


「おい・・・おい!!!嘘だろう!?」

 葵は叫んだ。

「『階段』が・・・無くなってる・・・?」

 ここは葵の心象世界。真っ赤なクリスタルによって紅く照らされた美しい空間・・・だった(・・・)

 今では、地面のあらゆる場所にヒビが入り、クリスタルの赤い輝きも失われている。元々が暗い世界だった為に、クリスタルの明かりが失われれば、訪れるのは完全なる闇だ。

 その中で葵は、地面に膝をついて呆然と前を見つめていた。その瞳に、今までの力強さはない。

 彼が見ているのは、元々は『階段』があった場所。パッチを手に入れてから、葵の希望であった、進化の階段は・・・跡形もなく失われていた。

「何で・・・だよ?何で階段が無くなってる・・・?」

 恐る恐る左手を見てみる。そこにあったのは、ヒビの入ったパッチだ。葵の生命維持へと力を使いすぎて、破壊されかけているパッチであった。

「壊れた・・・のかよ?何でだ・・・。何でだ!!!不知火や雫は致命傷受けてからでも進化できたじゃないか!?主人公はよくて俺はダメなのかよ!?」

 不知火など、心臓を破壊されてからでも進化できている。なのに、何故葵は駄目なのだ。心臓も脳も無事であり、ここから進化出来るなら十分望みもあったはずなのに。何故、不知火に出来て葵には出来ないのか?

 何が悪かったのか。それは誰にも分からない。もしかすると、伏見葵という人間においての限界がここだったのかも知れない。主人公とは、ヒーローとは、例え実力がなくても、まるで運命に守られているように終わりを良くする人間のことだろう。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ