吸血の関係
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…君とは…対等で、いられない」
その声は掠れて、少し震えていた。
「君から…血を受ける度に、僕は、君と…違う種族だと、思い知らされ…突きつけられる」
まるで、血を吐くように綴られる言葉の連なりには、真剣な想いが詰まっている。
飛白がどんな思いをしていたかに、気がつかなかった…私は、馬鹿だ。
馬鹿みたいに、血を求められることを、自分が求められてる。だなんて思ってた……
「…………だから、君から…血は貰えない」
でも、飛白には必要、な物……だよ、ね。
「こ、れから、……血…どう…する、の?」
私からは…貰わない………だったら……決まってる、よね………
「…………………。」
沈黙が…その、答え…だった。
考え…たくない、答えに、吐き気が、してくる……誰かに、飛白が…誰かを……っ
「ゃ、ィャ……ゃだ……」
も、う…限界だった……立ってられ、なくて…その場に、ヘタり込んでしまう……
頭の芯まで夜の森の闇に塗り潰されたかと思った……でも、違う。
もっと汚くて暗い何かが…渦巻いて、襲ってくる。
ただ必死に身を縮こめて、荒れ狂うドス黒い闇から耐えることしか考えられない。
「香澄ちゃん…?」
飛白の声が、遠くで、聞こえる……。でも、今は 無理。 へんじ でき な い
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさ
ぎりぎりぎりぎりっ
急に押しつぶされそうな力が加わって、意識が外へ向く。
私は飛白の腕の中で、押しつぶされそうになっていた。
「けホッ、こフッ」
肺の中の空気が押し出されて、咳き込んだら、新しい空気が急に肺の中に入ってきて
また咳き込む。何度もそうしてると、少しずつ音が耳に戻ってくる。
「香澄っ香澄ちゃんっ!」
飛白が…呼んでる…返事…しなきゃ…
「こほっ」
咳しか…出ないよ…なんで…?…咳…ぃや…くるし……
「………」
「香澄っ、息してくれっ!」
………息…?
「けふっ…ひぅ…」
こう…だっけ…?…あって…る…?…息…しなきゃ…返事…しなきゃ…飛白…呼んで…
「…ひ…ぅ…く…ふ…」
息…むつかしい…な…でも…しなきゃ…へんじ…しなきゃ…か…すり……
「…、…」
「香澄ちゃ!息をしてくれっ!!」
「けほっ…ふ…は…ぅ…か…は…ひ…ぅ…」
「香澄っ!香澄ちゃんっ!」
……返事…息…しなきゃ…飛白…息…しなきゃ…飛白…返事…飛白…呼ばれ…
「か…ぅ…ぃ…こふっ…は…っふ…けふっ…ふ…は…」
声…出ない…返事…出来ない…息…できな……
「…」
「香澄っ!!香澄 香澄っ香澄!!」
悲鳴…みたい…声…飛白…返事
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