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Impossible Dish
第三食
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、倉庫の端に置かれているものの、それでも足りないのか沢山の紙束がそれに習って置かれていた。これほど紙に満たされた空間なのに、不思議と埃っぽいものは何一つ無く、むしろ外と同じような清浄な空気が漂っていることからきちんとした手入れがされていることが解る。

 次いで目に入ってきたものは、なんと厨房だった。こちらには紙が一切置かれておらず、あまりに理路整然と整頓されているせいか、この空間の中で妙な異彩を放っていた。調理台が何台もあり、その内の一つに大量の辞書のような本が置かれており、その隣の調理台には大量のノートと鉛筆と消しゴムが一対あった。開かれたノートは遠くから見ると真っ黒に塗りつぶされているように見える。

「────」

 この()()を見て、えりなは言葉を失っていた。呻きも上げることすら叶わず、えりなの思考は厨房に吸い込まれていた。
 
 一言で言えば異様だった。ただ、その一言では表しきれない何かが、この厨房には満ち満ちていた。莫大な紙が大半を占めるような、人が頻繁に立ち入るとは思えないような空間は見る者に、怪異さではなく、異端さを思わしめた。

 しばらく呆然と眺めていたえりなは、厨房に充満した何かの正体を見つけた。

 狂気。マイナスな意味ではなく、ただ一つの道をまっしぐらに目指す専一の姿勢が、常軌を逸するほど鋭い様子。それを言い表すためには狂気という言葉以外当てはまらない。
 努力なんかでは生ぬるい。この空間に満たされている狂気は、とうの昔に努力という言葉の枠を突き破ってしまっている。そうでなければ圧倒的境地を見た時に抱く「凄み」を感じないはずなのだから。

「えりな様……?」

 倉庫の入り口で突っ立っていると真後ろから控えめな声で呼ばれた。弾かれて振り向くと、そこには身の程を超えた大きさのダンボールを抱えたなおとがいた。

「どうかしましたか?」
「どうもこうも、君こそ何をやって……」

 未だ我を取り戻していないえりなはうわ言のように言葉を紡いだ。厨房の件についてもそうだが、平然とダンボールを抱えているなおとの姿にも呆気にとられてしまったのだ。
 所謂箱入り娘のえりなにとって、自分で荷物を持つというのは考えられなかった。それどころか自分の体重より重いのでは、と思うほど大きなダンボールの中には食材が詰められていた。その細い腕でどうやって持っているのか不思議なくらいだ。
 そして一番理解できなかったのは、その事実をさも当然と言わんばかりに受け入れているなおとの態度だった。一般家庭でも5歳の子供にこんな大荷物を持たせるはずがない。ましてや薙切家のように使用人がいる家ならなおさら。

 常識と現実のギャップが、なおとを囲む環境の惨さを物語っていた。

「僕は食材を厨房に運んでいるとこ
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