暁 〜小説投稿サイト〜
BloodTeaHOUSE
試作の仕様
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飛白は今日も裏子をからかって怒らせたり、んごーをいじめて泣かせたり、
私には少しだけ優しかったりと、いつもの飛白だ。
血をあげた時のことが、まだ心に、刺のように引っかかってるけど。

「こんばんわ」

ドアが開いてお客様が来た。目のあるところに白い包帯を巻いた髪の長い人。
アースカラーのゆったりとした服装と顔の半分を覆っている包帯のせいで、
ぱっと見た感じでは、男の人なのか女の人なのかわからない。

杖をつきながら、歩く姿を眺めていると、

「ああ、ここは食べ物屋さんなのですね」
そう言いながら、まるで見えているかのように顔をめぐらせている。
その声でようやく男の人だとわかった。

「ようこそBlood Tea HOUSE へ!お席へご案内いたしますねっ」

裏子は元気な声で、お店を案内していく。
決して手馴れたものではないけど、思いやりの感じる手つきで裏子は手を引いていく。

カウンターに腰を下ろしたその人の髪の毛は、長くてあちこちを向いてはねてるけど、
やさしい栗色はよく似合っている。

「お客はん、もしかして旅の人でっか?」
「ああ、はい。そうなんです。あちこちで物を仕入れては、店で売ってるもので」
「今日はお食事ですか?」
「そうですね、お腹はあまりすいていないので、飲み物をいただけますか?
 できれば、この方のと同じものを」

そう言って私の手元へ顔を向ける。はちみつ入りのホットミルクにバニラも入っている、
最近の私のお気に入りの飲み物。
目の見えない人はその他の器官が鋭くなるってきくから、この香りが気に入ったのかな?

「店ではどんなもん売っとるんですか?」
「いろいろですよ。例えば‥‥これは思い出のアルバムです」

その人が革包から取り出した1冊のアルバムは、臙脂色の表紙の分厚いもので、
中身は古典的な普通の紙だけど、たくさん写真が貼れそうだ。
しっかりした作りのアルバムはなんだか素敵だったから、欲しくなってしまって、

「あの、これって、今は売ったりなんか‥‥できないですよね」
「かまいませんよ。これは大切にしてると、心に残る思い出を写真にしてくれますかr…」
「ホンマか!?えらい珍しいもんやんかっ!他にはどんなもんがあるんでっか!?」

その言葉に食い気味で、んごーが話に割り込んできた。目がすっかり輝いてる。
あー、裏子がすごい嫌そうな顔してるよ? 珍品だといわれれば、すぐ飛びつくんだから。
そんな不思議アイテムが、気軽に買えるわけないのにね‥‥‥
それに、もし本物だったら、心の中をまるっと写し出されそうだから、逆に怖いし‥‥

「そうですね‥‥あ、エルフの薬があります」

取り出されたガラスの小瓶には、毒々しい色の薬が半分ほど入っている
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