ぬいぬいと提督
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げな仕草は、硬い口調とは裏腹に、
年相応に見えるかわいらしいさがあった。
テーブルに肘をついて、両手を組み、それを楽しそうに見ている”提督”。
飛白が言うには、彼は人間らしいけど、このお店や店員に、動揺した様子は一切伺えない。
温和そうだけど、軍人さんだけあって、肝が据わっているのかも。
「では日替わりメニューと裏子スペシャル、お一つずつですね」
今日の裏子スペシャルは、どうかハズレでありませんようにと
心の中でお祈りするも虚しく、
厨房からは、飛白の「それは食べ物じゃないだろう!?」という声が聞こえてくる。
「んごー、大丈夫かな?あの女の子」
「どーやろなぁ、裏子えらい張り切っとるし。あーなったら止められんからな」
「オーナーとして、それはどうなのよ‥‥」
「いやいや、あの子、ああ見えてえらい丈夫そうやし、なんとかなるて」
ちらりと後ろを振り返る。
青年は”提督”って呼ばれてたし、上級士官の軍人さんっぽいよね。
”大本営”とか言ってたけど、旧日本軍本部のことかな?
年端もいかない少女が、秘書官を勤めてるってのも、だいぶ変だけど、
手にぶら下がってるものからすると、護衛も兼ねているのかな?
「そもそも、不知火の食事なら”間宮”さんで十分ではないですか」
「たまには違うものを食べてみるというのも、ぬいぬいの良い経験になる、と僕は思うよ」
「だとしても、なにもこんな山奥てなくても‥‥」
「電探が反応したんだから、ここが当たりのお店なのは間違いないだろう?」
「そ、それはそうですが、時間の浪費をしすぎですっ」
う〜ん‥‥なんだか、上司と部下って感じには見えないな。
どっちかっていうと兄妹?恋人?家族? そういった親密さを感じる‥‥ような気がする。
「お待たせしましたーっ!裏子スペシャルと日替わりメニューですっ」
満面の笑顔で、裏子は両手にトレイを乗せているけど、
なぜ食べ物が金属の色をしてるのかなっ!?
いつもどおり、どろっとしてて、ぐっちょりなのだけど、
その表面はまるで水銀のようなメタルカラー。
湯気なんか、表面からの光の反射を受けてレインボーだよっ!?
ほんとに食べられるのっ!?それっ!?
飛白の料理に注意が向かないほどの、圧倒的な視覚的破壊力に、
私はオロオロと、んごーや飛白を見てしまう。
苦笑している飛白に、どこか悟りを開いたような顔のんごー‥‥
「ほら、言ったとおり当たりだったろう?」
耳を疑うようなセリフに、テーブルを振り返ると、
楽しそうに笑う提督さんと、じっと料理を見つめる不知火ちゃん。
「じゃあ冷めないうちに、いただきます」
「い、いただきます」
はむっと、不知火ちゃんが料理を口にしたとたん、彼女の
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