マブラヴ
1024話
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りも、ほら。折角だからお前達も食えよ。ドーナツは時間が経てば味が落ちるぞ」
「……歩きながら食べるのですか? それは少々はしたないような……」
「恭子、郷に入っては郷に従えと言うだろう? それに回りを良く見てみれば分かると思うけど、結構歩きながら食べている人はいるようだよ?」
崇継の言葉に、周囲を見回す恭子。
実際、歩きながらクレープやドーナツを食べている人はそれなりの人数がいるし、たこ焼きを食いながら歩いている者もいる。
……たこ焼きか。ドーナツもいいけど、たこ焼きもいいんだよな。
そんな風に考えていると、恭子としてもやはり興味があったのだろう。やがておずおずとドーナツを取り出して、歩きながら口へと運ぶ。
2人の護衛である真壁と如月の2人もまた歩きながらドーナツを口へと運んでいる。それでも周囲を見回す目が鋭いのは、護衛としての仕事を忘れていないからだろう。ドーナツ片手では様にならないが。
崇継も含めてそのままドーナツを食べながら歩き続けていると……やがて交流区画の端の方へと辿り着く。
人の数が少なくなっていくその様子に、如月が不思議そうに俺の方へと視線を向けてくる。
「アクセル代表? この先には一体何が?」
「このホワイトスターで最近目玉の観光地の1つだよ。別に恭子に危害を加えるような場所じゃないから、安心しろ」
その言葉をどこまで信じたのかは分からないが、それでも如月は特に何を言うでもなく、先導する俺の案内に従ってついてくる。
そのまま人気のない方へと歩き続け……やがて10分程が経ち、既に食べていたドーナツも全員の分が既に――俺の分も合わせて――なくなる頃になり、ようやく目的地へと到着する。
「ここは……公園?」
呟いたのは、真壁。何故ただの公園に自分達を連れてくる必要が? そんな思いでもあったのか、公園を見回し……次の瞬間、大きく目を見開く。
そこにいた、大勢の人間達を見たから……という訳ではなく、その人間達と笑みを浮かべて話している人物に気が付いたからだろう。
具体的に言えば、公園にいる女を口説いているハイエルフのホドリューの姿を。
……ホドリューって何だかんだと女好きなんだよな。いや、その辺に関して俺がどうこう言える筋合いじゃないのは知っているんだが。
ただ、時々この公園に来るとホドリューが女を口説いている光景というのは良く見るし、そして続いて……
「父さん、何をやっているのかしら?」
慈母の如き笑みを口元に浮かべたテュカの姿。
ただし、その目は口程にも笑ってはいない。
テュカの姿を見た女達は、愛想笑いを浮かべながら去って行く。
そんなやり取りを見ながら笑い転げているダークエルフ達。
……そう、ここはエルフ族に与えられている公園だ。
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