番外編:Birthday Of Victor
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は何か縁があるのかもしれませんね。
私はラル・メル・マータです。あなたのお名前は?」
「俺は……ルドガー・ウィル・クルスニク」
その出会いは運命だったのか、ルドガーとラルは瞬く間に惹かれあい恋に落ちる。
ルドガーはアイボーと同じ眼の色をしたラルに心を癒されて絶望の淵から抜け出す。
もう二度とこの色を失う物かと固く決意したルドガーは彼女と結婚する。
絶望だけで色を失っていた世界に再び色が戻り、彼は日々の生活を充実して過ごすことになる。
そして、二人は愛し合った末に愛の結晶を授かることになる。
「ねえ、あなた、子供はなんて名前がいいと思う?」
「そうだな……女の子なら―――エル」
「エル……可愛い名前! それで決まりね」
彼は考えるまでもなくかつてのアイボーの名前を口にしてしまった。
慌てて言い直そうかとも思ったが彼女がことのほかその名前を気に入ってしまった為に言い直すことはしなかった。
だから、生まれて来る娘の名前はエルと決まった。彼はその時気づくことがなかった。
それが幾度となく繰り返される“エルとルドガー”の―――運命の呪縛だという事を。
ラルは難産の末に一人の元気な女の子を産んだ。
余りにも難産だった為に彼女の身体は弱くなり、もう子どもが出来ない体となった。
しかし、それでも二人は幸せだった。
かつての仲間や兄が生まれた女の子、エルを祝福してくれた。
この当たり前で掛け替えのない幸せがいつまでも続くと信じていた。
エルがかつてのアイボーと同じ―――クルスニクの鍵だと判明するまでは。
「ルドガー、この世界を守る為にエルが必要なんだ。エルを僕達に渡して!」
「お前達はまた“エル”を犠牲にする気か!? この偽物の世界の為に!」
父ビズリーはその能力を利用するために奪おうとし、かつての仲間たちも自分達の世界を守るために赤ん坊のエルを正史世界への交渉材料に使おうとしていた。
兄ユリウスだけは間に立ってくれてはいたが結局ルドガーの身を案じることを優先としていた為にどっちつかずの状態でエルを守るという選択は出来なかった。
ルドガーはかつて自分の“エル”を犠牲にした罪悪感から、世界の為に娘を犠牲にするということは許せなかった。
ルドガーと仲間達の話し合いはお互いの譲れない物の為に平行線をたどっていた。
そして、ビズリーが痺れを切らしてエージェントを率いて襲撃しようとしていることを知ったユリウス達は事態を穏便に済ませるために最後の交渉として別荘に泊まり込んで交渉を続けた。
そしてどちらも譲れず議論が白熱してきた時―――
「子どもなんて、またつくればいい」
誰が言ったのかも分からない程の何気ない言葉がルドガーの耳に入っ
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