2部分:第二章
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第二章
「そして。王もだ」
「あの方をですか」
「最早」
「それが正義なのか」
王への批判は本来ならば絶対に許されない。しかしそれでも彼はあえて言うのであった。言わずにはいられなかったのである。
「フランスを救われたあの方を。そうして」
「助け出せたらいいのですが」
「我等の手で」
「そう思う。本当にな」
レイは実際にだ。本気でジャンヌを救い出そうと考えていた。しかしそれが不可能なこともだ。彼は実によくわかっていたのである。
それでだ。忌々しげな顔をそのままにしてまた言った。
「私に翼があればな」
「あの方の下に向かい」
「そうしてですね」
「神は何を御考えなのか」
レイはこのこともわからなくなってきていた。
「聖女を見捨てられるのか」
こう言うのであった。そしてだ。
彼はやがて軍を退き途方もない贅沢にその身を浸していく。そうして錬金術に手を出しそこから美少年達への殺戮に身を委ねることになる。青髭と言われたジル=ド=レイ、彼もまた何かに失望したのだろうか。
イングランドではだ。貴族や僧侶達があれこれと話していた。
「それではだな」
「ああ、いよいよだ」
「明日処刑を行おう」
「王もそう仰った」
王の存在もその話に出た。
「あの娘を火刑台にあげる」
「そうして処刑する」
「魔女としてな」
「バチカンも承認しました」
僧侶の一人が言った。
「それでよいと」
「では何の憂いもない」
「このまま処刑しよう」
「明日な」
「聖女ではなく魔女として」
「死んでもらおう」
彼等としてはだ。オルレアンの聖女なぞあってはならない存在だった。だからこそだ。異端、それも魔女として彼女を処刑することにしたのだ。
フランス王はそれについて何も言わなかった。ジャンヌを完全に手駒として考えていた。そのうえで彼女を捨てた。それだけだった。
そのジャンヌはだ。牢獄の中にいた。その中で手枷をかけられだ。囚人の服を着て置かれていた。栗色の髪を切り揃えている。髪と同じ色の目の光は強い。凛とした顔立ちをしている。そんな少女だった。
そこに僧侶の一人が来た。若い僧侶だった。彼はジャンヌに対して問うた。
「宜しいか」
「何でしょうか」
「明日に決まりました」
「そうですか」
「貴女は明日火刑台にあげられます」
まずはこのことを告げるのだった。
「そしてです」
「そうですか。わかっていましたが」
「よいのですか?」
ふとした感じでだ。僧侶はこう彼女に言った。
「貴方はそれで」
「処刑されてもですか」
「はい、貴女は魔女になるのです」
既にだ。異端審問の場でそう告げられていた。聖女ではなくそれだとだ。
「そうして火刑台にあげられるのですが」
「確かに無念です
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