第37話 響き渡る静寂の音
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苦しんでいるのである。
「サンキューな、マリー」
おそらく上にいるであろうマリーに向かって
ホークアイはつぶやいた。
「‥‥‥‥ガハッ!ゲホゲホッ!!」
俺は血を吐きながら咳をした。
「ジェーン!オイ、無理すんなよ!!」
無理に起き上ろうとしていた俺を
ホークアイが押さえながら言った。
「‥‥‥‥‥‥俺が‥‥‥とどめを‥‥‥刺す‥‥‥‥」
俺は倒れ込んで暴れまわっている"鎧虫"を
強く睨みながら言った。
「‥‥‥‥‥ったく、しょうがねぇな」
ホークアイは両肩を持って俺を後ろから支えた。
「どうせ止めてもやるんだろ?」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
俺はホークアイの顔を見た。
微笑んでいる彼の目は俺を信頼していた。
お前ならきっとやってくれるだろ。
そう、声をかけているように思われた。
『俺だって何かしねぇと示しがつかないしな‥‥‥‥』
俺はホークアイに向かってうなずくと
息を吸って呼吸を整えた。
気道を通って、肺に空気を蓄えている最中も
俺の身体には激痛が走り続けていた。
しかし、それでも俺は息を吸い続けた。
『女にだって、やる時にはやれるんだ!!』
そう心の中で叫びながら俺は
空気を吸い込むのを一旦止めた。
そして、渾身の超音波を口から吐き出した。
『〔音速裂波〕ッ!!!』
キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!!
その音はこの場にいるジェーンを除く全ての生物には
全く聞こえない静寂の音だった。
同時に、その音は暴れまわる"鎧虫"の全身を包み込み
構造を粉々に分解する悪魔の歌声だった。
「ギィッ!ギッ、ギギィィイイ゛ィッ!!?」
ビシッ! ビキッ! パキキッ!
全身の"鎧骨格"に亀裂が走った。
"増殖器官"も全て完全に破損しており
"鎧虫"は動く事すらままならなくなった。
「ギッ‥‥‥‥‥ギギ‥‥‥‥‥‥‥ィ‥‥」
ピシッ!!
全身が割れ切ったかと思われたその瞬間。
サァァァ‥‥‥‥‥
"鎧虫"の肉体は塵のようになって
この空間に消えていった。
「‥‥‥‥やった‥‥‥のか?」
ホークアイは喜びに顔を緩ませながらつぶやいた。
「‥‥‥‥‥‥ガハッッ!!!」
俺は口から大量の血を吐き出した。
そして、
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ゲホゲホッ!!」
もう、限界だ。指一本動かせないとは、まさにこの事だ。
おまけに、呼吸が全くその意味を成していない。
多分、さっき無理やり呼吸をしたせいで
肺に血が溜まっているからだろう。
あまりの苦しさに涙が出て来た。
「おい!
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