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鎧虫戦記-バグレイダース-
第37話 響き渡る静寂の音
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んなに考えても、何か障害にぶつかってしまう。
どうしようもないのか、と半ば諦めていたその時だった。

 カランッ‥‥‥‥

ホークアイの懐から何かが落ちた。
彼は反射的にそれを見下ろした。
懐に入れていた弾倉の一つが落ちてしまったのかと
落ちた直後は考えていたが、銃の整備を毎日している彼は
この音は違う、と言う事に気付いていた。
そして、それが何かに気付くと彼はニヤついた。

「‥‥ヘッ、全く‥‥‥‥マリーの奴‥‥‥‥」

ホークアイはそうつぶやいた。
彼はそれを急いで拾い上げ、振りかぶった。
その時、彼はここに来るまでの事を思い出していた。


――回想――――――――――――――――――――――――――――――――――


「はい、ホークアイ」

マリーは彼に何かを手渡した。

「ん?おいコレって‥‥‥‥」
「ホークアイにそれあげる♪」

ホークアイは少し困った顔で訊いた。

「でも、これはお前がヨセフさんから貰ったモンだろ?」

マリーは答えた。

「コレは私より、ホークアイが持ってた方がいいと思うから」

彼女は少し笑いながら続けた。

「だって、ホークアイってこの中で一番弱いから」
「オイッ!事実だけどそれ言うなよッ!!」

マリーの付け加えた一言に若干傷つきながら
ホークアイは大声でツッコんだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「うおらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああッッ!!」

 ブンッ!!

そして、ホークアイは手に掴んだ何かを
思いっ切り"鎧虫"に向かって投げつけた。
ジェーンは少し霞んだ視界の中を
弧を描いて飛んで行く何かの正体に気付いた。

『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥小瓶‥‥‥‥‥?』

その小瓶は、ホークアイの手で
フタのはまり具合を少し緩められていた。
それは、あの"鎧虫"に当たった瞬間に
外れるようにするためである。

 カンッ!

思った以上に軽い音の後に
彼の思惑通り、閉まっていたフタが外れた。
そして、中から半透明の液体が流れ出て来た。

「ッッ!!?ギイィイ゛ィィイ゛イィイイ゛ィイ゛イイ゛ッッ!!!」

それをもろに頭に浴びた"鎧虫"は
大声を上げて暴れまわった。

 ズウウウゥゥンッッ!!

それにより、またバランスを崩して地面に倒れこんでしまった。
さっきホークアイが投げつけた小瓶に入っていたのは
サウジアラビア原産の木の油分を抽出して作り上げられた油
通称、精油"エッセンシャルオイル"である。
これには、虫の嫌う成分が多く含まれており
その匂いをもろに吸ってしまった"鎧虫"は
そのせいでもだえ
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