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鎧虫戦記-バグレイダース-
第37話 響き渡る静寂の音
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振動数を低くすることで、男の声を出していたのである。
ちなみに、一度聞いた声なら簡単に再現することが出来る。


 
 キィィィィィィィィィィンッ!!!



今、俺が行っているのは直接的な攻撃ではなく
あの"鎧虫"の身体の“固有振動数”を探し出すことである。
固有振動数とは、物体の最も振動しやすい振動数である。
それは"鎧虫"の個体によってやや異なっており
それを見つけなければ俺の攻撃は始まらないのだ。

しかし、ケガのせいで普段通りにいかず
なかなか12m級"鎧虫"の固有振動数が見つからなかった。

『だが、今の俺にはこれしか出来ないんだ‥‥‥ッ!』

俺はホークアイが戦っている間に
必死に"鎧虫"に声を当てて、固有振動数を探し続けた。

 ドンドンッ!

ホークアイは"鎧虫"の後ろ側に走りながら
再び銃口を向けて、二発の弾丸を発射した。

 ガガンッ!! ビシシッ

破損した"増殖器官"にさらに弾が当たり
亀裂がさらに広がった。

 ドンッ! カチッ

もう一発放つと、弾倉内の弾が空になった。
かれこれ何発撃ち続けただろうか。
 
『早く弾を再装填(リロード)しねぇと――――――――――』

懐に入った新たな弾倉を取り出そうと
少しだけ鎧虫から目を離した瞬間だった。

「ギィィィィィィィィィィッ!!」

 ブンッ!!

12m級"鎧虫"は前足を横に振り払った。
ホークアイは完全に油断していて
まったく動くことができなかった。

 ミシッ!  

"鎧虫"の足がホークアイの身体にめり込んだ。
そして、そのままの勢いで弾き飛ばされた。

 ドガアアァァァアアンッッ!!

ホークアイは延長線上の岩肌に叩き付けられた。

「‥‥‥‥が‥‥‥ッ‥‥‥‥‥‥」

 ドシャッ!!

声にならないうめき声を上げると
そのまま地面に音を立てて落下した。
運悪く尖った岩があったらしく
背中から血が流れ出ていた。

「ハァ‥‥‥ハァ‥‥‥ハァ‥‥‥」

ホークアイは息を荒くしながら
"鎧虫"を鋭い目つきで睨んだ。

「ギィ‥‥‥‥ギギィ‥‥‥」

視界では、"鎧虫"の機械的な目が見下ろしていた。
そのまま、少しずつホークアイの方に歩いて来ている。
捕食するつもりなのだろうか。

「ホークアイッ!!」

俺はこの閉鎖された空間に響き渡るほどの大声で叫んだ。
正直、傷の痛みもすっかり忘れてしまっていた。

「‥‥‥‥‥ギィィ‥‥‥‥ギィ‥‥」

すると鎧虫は小さく鳴き声を上げて、俺の方に顔を向けた。
そして、今度はこっちに向かって歩き始めた。
ホークアイへの興味が薄れたのか、うるさい俺から
先に殺
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