第37話 響き渡る静寂の音
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弾き出された二発の弾丸はホークアイの狙い通りに
まっすぐ"鎧虫"の弱点である"増殖器官"に飛んで行った。
ガガンッ!!
しかし、"鎧骨格"並ではないにしろ
かなりの強度を誇る"増殖器官"は
弾丸の二、三発程度では破壊することは
出来ないようだった。
『んな事はとうの昔から知ってんだけどな』
さらに前へと走って行き
ホークアイは銃口を再び"鎧虫"に向けた。
ドンドンドンドンッ!!
間髪入れずに四発の銃声とともに
弾丸が螺旋状に回転しながら飛んで行った。
ガガガガンッ!!
先程当てた部分とほぼ同じ場所に
四発すべてが命中した。
ビシッ
"増殖器官"に小さな亀裂が走った。
あと数発また同じ個所に命中させれば
おそらく機能が停止してバランスを崩すだろう。
「さぁ、どんどん行くぜ!」
ホークアイは走り回りながら叫んだ。
「す、すごい‥‥‥‥‥」
俺はホークアイの銃撃戦に目が釘づけになっていた。
まさか、ここまで正確な射撃が走りながらできるとは。
正直あまり期待はしていなかったが、もしかしたら
俺がいなくても戦いを終わらせるのではないか
と思わせる程の戦いぶりだった。
『はっ、そんなこと考えている場合じゃなかった!』
しかし、人間並みの体力しかないホークアイでは
走り回り続けるにも限界があるはずだった。
なので、俺は今の俺に出来る準備をしなければ。
「スーーー、ハーーー」
俺は2、3度大きく呼吸をした。
先程から何度も俺が息を整えるのは
俺が"超技術"を使うために必要な事だからである。
「フッ!」
キィィィィィィィィィィンッ!!!
俺は口から超音波を発した。
無論、これは人間はもちろん
"鎧虫"でさえ聞こえることはない。
俺の"超技術"は"声質制御"
声の性質そのものを自分の思い通りに制御して
口から発することが出来る能力である。
そもそも声とは、喉の声帯を気道からの空気によって
振動させることによって発せられている音である。
俺はその振幅や振動数などを自由に調整する事によって
普通の声を兵器的レベルにまですることが出来るのである。
この"超技術"はかなり応用が利く能力である。
例えば、俺が"超技術"として偽っていた″音速裂刃″。
あれは、腕から生えた顎状のブレードに俺の振動数の高い声を
帯電ならぬ“帯声”することによって、攻撃で接触した瞬間に
高振動が分子構造を分解し、切断することが出来るのだ。
俺が"顎人"として行動していた時に
男の低い声だったのも、この"超技術"のおかげである。
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