第九話 従兄妹
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んも渋々了解しないでくれません?お願いだから殺さないでね?」
リュウヤの抗議は華麗に無視され、ようやく今回の本題ーーー第二十四層攻略会議が始まった。
時は過ぎ、翌日の真昼ごろ。
《攻略組》と呼ばれるプレイヤーたちは、第二十四層ボスフロア前にいた。
昨日の会議で決まった立ち位置や作戦は皆頭の中に叩き込んである。
そして今回対ボスの主力を務めるのはーーー
「やあ〜、まさかヒースと組むなんてな」
「フフ、こう言っては何だが、楽しみだよ」
リュウヤとヒースクリフが楽しげに笑みを浮かべて笑っているのを、ハタから見ているもの達は苦笑していた。
今回の主役となるのはリュウヤとヒースクリフ。
これは今日、最終決定したことだった。
本当ならリュウヤの枠にキリトが入る予定だったのだが、昨日の会議に参加しておらず、今日の攻略戦ですら顔を出さない彼に代わって、彼と同等の火力を持つプレイヤーとしてリュウヤが入った。
その案が決まりかける際に、
「なんでキリトくんは来てないの?」
「おや?彼氏が来なくて寂しいのかい?」
「誰が彼氏ですって……?」
「王子が来なくて悲しいのは分かりますが、堪えてくだされ姫」
「……あなた一度死にたいのでしょうそうでしょう」
「嫉妬ほど醜いものはないと思われますよ、姫様」
「…………」
「ん〜、さすがに無言で攻撃してくるのはやめてもらえるッ!?」
という殺り取りがあったのは、言わずもがなというものだろう。
そして始まる第二十四層フロアボス攻略戦は、誰かさんたちの大立ち回りで呆気なく終了。
その誰かさん達は攻略戦に参加した全員から罵詈雑言と非難の嵐を身に受けたそうな。
加えて後日、攻略戦のことなど“なにも知らされていなかった”まっくろくろすけに散々に言われる運命を持つ者も現れたそうな。
攻略戦を終えたその日の夜、新たに開かれた転移門前に少女が立っていた。
少年というには大人びていて、青年というには幼い男はその少女にかけよったかと思えば手首を掴んで宿泊先と決めていた宿に強引に連れ込んだ。
部屋に入ると外の音は遮断され、彼と彼女の存在だけがその空間を支配する。
そして第一声。
「……ギュッとして?」
「……ああ」
言われるがままに彼は彼女を抱きしめる。
仄かな暖かさに身を任せ、癒しを求めるように彼女の体を抱き寄せる。
「……痛いよ」
「すまん」
「にいは優しいね」
「はっ、どこが」
「願いごと、いつも叶えてくれるから」
「そりゃ、妹だからな。兄貴としちゃそれが筋ってもんだろ」
「ふふっ…
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