第九話 従兄妹
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ろう。
いつもは人の心を読み取りからかってくる彼の鬱陶しい特技に、今は感謝していた。
そしてこの瞬間から、キリトは《攻略組》の《ビーター》キリトではなく、《月夜の黒猫団》の一員キリトとなった。
「で、なにか言うことは?」
「誠に申し訳ございませんでしたっっっっ!」
周囲からおおっ、と感嘆の声が聞こえた。
それはなにもアスナの冷え切った声にではなく、少女に対してなんの躊躇もなくピシッとした土下座を敢行し、完全な敬語で対応したリュウヤの心意気にである。
「そうやって謝るくらいなら、なんで初めからちゃんと出来ないの?」
「てへっ☆ーーー待って待ってごめんなさい申し訳ございません誠心誠意謝りますからどうかお仕置きはご勘弁をッ!?」
「ほんっっっとに人をおちょくるの大好きですねっ!」
「特技でぇ〜す☆」
「……私に怒られたいからそうしてるのか単にそういう性格なのか問い詰めたいんだけど」
「アスナさ〜ん?問い詰め方が物理的すぎるよ〜?」
言いながらアスナの手から閃くレイピアの切っ先を華麗にーーー否ウザったらしく躱していくリュウヤの様は、観客に笑いと苛立ちの両方を与えるという偉業(?)を成し遂げていた。
「まあまあアスナ君。それくらいにしたまえ」
ほわっとか、へいへいへい〜とか、ぷぎゃあとか言いながら躱しまくるリュウヤに、段々とアスナの中の怒りゲージが限界突破しそうになったちょうどその時、ヒースクリフが止めに入った。
「でもっ!」
「そうでないと、いつまで経っても攻略会議が始まらないのだよ」
見てごらんというようにヒースクリフは目線だけでアスナに訴えかける。
ちらっと見えた攻略組の面々は面白がっているものの、早く始まらないかなという表情をしていた。
「だからーーー」
だから早く切り上げて始めよう、とヒースクリフは言おうと口を開いたのだ。
だがしかし、
「でもっ!私はこの人を穴だらけにして串刺しにしないと気が済まないんです!」
「あの〜アスナさーん、それ俺死んじゃうからー。あとそんな物騒なこと言わないでくんない?可能性がリアルすぎて俺ガクブルだから」
アスナの限界はヒースクリフが止めに入った直後に突破してしまっていた。
リュウヤの言う通り、可能性が高すぎる彼女の望みに彼は本心から震え上がった。
残虐な殺し方を望んだアスナに野次馬たちの心胆も凍りそうになるが、ヒースクリフだけは冷静にアスナの怒りを沈ませようとした。
「落ち着きたまえアスナ君。それは後でいいから今は攻略会議だ。切り替えてくれるかな?」
「……はい、分かりました」
「ヒースクリフさーん?後でって何ですか後でって。アスナさ
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