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ソードアート・オンライン 瑠璃色を持つ者たち
第九話 従兄妹
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「ほんじゃ、俺は帰るな〜」

会話や食事に花を咲かせるのはそこそこに、リュウヤはそう言って席を立った。
フレンド登録を済ませた《月夜の黒猫団》のメンバーたちは全員笑顔で手を振って送ってくれた。その行為にリュウヤは人知れず苦笑する。こういうものはあまり慣れていないのだ。

食事代を出してから外へ出ると背後からドアが開く音がした。
ちらりと肩越しに見えたのは翻る黒いロングコート。揺れる裾は本人の迷いを表しているように見えた。

「なんだよキリトくん。見送りかい?」

「……なんで」

「なんでって、何が?」

「…………」

おいおい返事くらいしようぜ、と言いかけたが、さすがに今のキリトには刺激が強すぎるように思えた。
キリトの顔に浮かぶ困惑した表情。ぐっと握り締められた拳は宙をさまよっている。

「……単なるおせっかい、と言っといてやろうか」

このままではキリトは何も言わず、ただリュウヤが答えを言うまで黙っていそうで。
そんな無為な時間を取ろうとは思わない。

「たまには《ビーター》も休業しようや。お前みたいなガキが背負うには重すぎる重圧だろ?」

問いかけてもキリトは何も言わない。ただじっとリュウヤを見据えている。
返答が来るとは思っていないリュウヤはそのまま続けた。

「なあに、ギルド加入は休業手当だとでも思っとけ。せっかく俺も手伝ったんだ。有意義に過ごそうや」

言うと、固く握られたキリトの拳が柔らかくなって開いていく。全身にも力が入っていたのか、その力も抜いて雰囲気が柔らかくなっていく。

そんな彼にリュウヤも一安心した。
《月夜の黒猫団》との時間で、彼の心が少しでも癒されるだろうと思いつつ、

「ま、がんばんなさいな。我が弟子よ」

「……言ってろ」

背中越しに片手をひらひらさせて笑いながら、キリトのトゲのあるお礼を体に染み込ませてその場を去った。





「まさかキリトが《攻略組》の人の“弟子”とは思わなかったなぁ。でも、だからそのレベルでソロでも戦えるんだね」

「……まあ、しごかれたというか、鬼畜というか」

ケイタの称賛に、キリトは少々苦々しく答えた。
そこには“嘘”をついている罪悪感とリュウヤの弟子と言われるちょっとした屈辱感ともいうべきものが混ざっている。

攻略組であるリュウヤの弟子、キリト。
それが今のキリトの肩書きだった。

「不躾だけど、キリトのレベルはいくつくらい……?」

時は遡り、リュウヤが目の前の肉にガッついている時だ、ケイタがこう切り出したのは。

訊かれたキリトはもちろん焦った。

怖かったのだ。本当のレベルを言えば、自分が悪名高い《ビーター》だと言えば、彼らから侮蔑の視線を送ら
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