一方その頃
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刺繍が施された服(これが私服なのだから驚きだ)を着るエイモンド。一々ポーズを決めてゆっくりと腰を下ろす間に、パディが紅茶の用意を終わらせる。
「……やはり、いい香りだ」
「ありがとうございます」
カップを持ち上げ、香りを楽しむエイモンド。エルフで金髪という容姿も相まって、これがなかなか絵になっている。リリアが見れば鼻で笑いそうであるが
「フッ、水面に映る僕、なんて美しいんだ……そう、まるで光り輝く月のように……」
「実際光ってるっすもんね〜」
「エイモンドさん、今は光るのは抑えてくださいね」
「フッ、僕が美しすぎるからって嫉妬はよくないよ?」
そう言いつつも魔法を解除するエイモンド。隣で光られて目を細めていたデルガが漸く目を開くと、再び酒を煽りだす。
「ん? 何してんだお前ら」
「ああ、ちょっとしたティータイムだよ、ヒル。君もどうだい?」
続いて自室から降りてきたのかヒルが現れると、パディはカップを掲げてヒルを誘った。
「紅茶はなぁ……お! おっさん! その神酒、俺にも分けてくれよ」
エイモンドとは逆のデルガの隣に乱暴に座ったヒルはいつの間に用意していたのかグラスを出した。
デルガは一度己の酒の残りを気にするようにして軽く振ると、渋々と言った様子でヒルが差し出したグラスに酒を注いだ。
「サンキューな、おっさん」
そう言って一口煽ると、やっぱうめぇ! と言葉を吐き出した。
「ヒル。もっと静かにできないのかい」
「つっても、何でこんなに静かなのかそっちの方が疑問だぜ?」
「確かにそうっすね、んじゃ、誰か話題を振ってほしいっす」
「それじゃあ、この僕がどうすればもっと美しくなるか、何て言うのはどうだい?」
カップを置き、フサァッ、と前髪をかきあげるエイモンド。
「ウザいからやめろ」
「これ以上は必要ないかと」
「そうっすよね」
「……」コクリ
「フッ、つまり、これ以上美しくなられると困るという嫉妬なんだね。けど、安心してくれ。僕の美貌は万人にも平等なのさっ!」
即答でこの場の全員から否定を受けたエイモンドであったが、まるで気に止めた様子もなく、それどころか、自身の頭の中で台詞を都合のよいものへと変換していた。
これぞまさしくエイモンド・エイナルドである、
「……相変わらずのポジティブシンキングには感服っすね」
「……だな」
「……ですね」
「……」コクリ
いつの間にか立ち上がり、光ってポーズを決めているエイモンドに一同は深いため息をついた。
【極光の陶酔者】の名は伊達ではない。
「あ、話題というほどじゃねえんだけどよ」
「な
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