1期/ケイ編
K11 グループデート
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「翼さん……」
「渋い……」
――彼らの「デート」は、実に少女たちらしい形で終了した。
最後に4人は、街を一望できる展望台に案内された。
時刻は夕暮れ。斜陽色に染まった街は、おそらく未来でなくとも一時は見惚れてしまうに違いない。
「さ、3人とも、どうしてそんなに元気なんだ……」
最後に汗だくで翼がようやく階段を登りきった。
「翼さんがへばりすぎなんですよぉ」
「今日は慣れないことばかりだったから」
「――防人であるこの身は、常にいくさ場に在ったからな。本当に今日は、知らない世界ばかり見てきた気分だ」
「そんなことありませんっ」
響は翼の手を取り、手摺の近くまで連れて行って、街の建物の一つ一つを――翼が戦ってきたからこそ今日在るそれらを説明し始めた。
(二人は同じとこに立って戦う人。きっとすぐ遠い人になっちゃう。いつか響の隣に立つのが、わたしじゃなくて翼さんになるのが自然になる日が来る)
すると、まるで未来の諦めを読んだようなタイミングで、未来の頭にケイが手を置いた。
「大丈夫だ」
見上げたケイの横顔は晴れ晴れとしていた。
「戦えない未来の代わりに俺が戦う。俺が未来の分も響ちゃんを守るよ。未来が響ちゃんを心配して、そばにいたいと思う心は、俺が背負う」
「――ありがとう、ケイ」
未来は留意なく微笑むことができた。ケイもまた未来へと向けて笑い返してくれた。
ケイが響の傍らに立つ限り、未来の想いもまた響と共に在る。響が遠い場所に行ったとしても未来は不安にはならない。ケイを通して、未来は響から離れないから。
感謝の気持ちが伝わるよう、未来はケイの左手を繋ぐため触れた。
ケイは声にならない声を上げたが、強く左手で握り返してきた。
交わった兄妹の視線は、小日向家で育ったどの日よりも、熱が篭もっていた。
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