1期/ケイ編
K11 グループデート
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ぇ、兄さん、それどんな味?」
「どんなって、オレンジ風味ですんげえ甘味料味。売りの果汁100%はジャロ行きレベルだな」
「へえ〜」
すると、未来がケイの腕をポール代わりに爪先立ちして、その手に持ったソフトクリームをぺろりと一舐めした。
しばらく事の重大さが分からずフリーズする小日向ケイ(20)。
「ホントだ〜。甘ったるい」
「!!!!」
ようやく事の重大さに気づいてオーバーヒートする小日向ケイ(彼女いない歴=年齢)。
「! 翼さん翼さん! それどんな」
「何の変哲もないバニラ味。だからあげない」
「フラれた〜〜!」
未来が自分の食べかけを食べたという現実にいっぱいいっぱいのケイには、響と翼にツッコむ余裕はなかった。
その後は翼をファンの目から隠してモールを中へ外へ移動しつつ、ゲームセンターへ入った。
翼がいるからダンスやリズム系のゲームをするかと考えていると、翼が数あるUFOキャッチャーの一つの前で止まった。
未来たちと共に覗き込んでみる。
視線から察するに、この中の不細工なのかユーモアなのか悩ましいぬいぐるみが欲しいようだ。
「翼さん、あれ欲しいんですか!?」
響が喜びの色が強い声を上げた。
翼が押され気味の肯定を返すなり、響はスマートホンを出してカードリーダに当て、UFOキャッチャーを始めた。
「翼さんご所望のぬいぐるみ、この立花響が必ずや手に入れてみせます!」
……気合充分に7回ほどやって、ものの見事に全敗したが。
ケイは少し考え、響に変わるように頼んで自分のケータイをカードリーダに当てた。
「こ、小日向?」
「兄さん?」
普段、プリズムレーザーの照準を合わせるのと同じ要領だ。反動がないだけずっと易しい。
狙い通り、アームは翼ご所望のぬいぐるみを掴み、取り出し口まで危うげなく運んで落とした。
「ホイ」
「あ、ありが、とう」
「このUFOキャッチャーひいきだぁぁぁぁ! キィエエエエ!」
「変な声出さないで! そんなに大声出したいならいいとこ連れてってあげるから!」
――かくて未来の案内で一同が着いたのはカラオケボックスだった。
(確かにここなら個室で大声出したい放題の暴れたい放題。考えたな、未来)
キープした部屋のメニュープレートをうちわ代わりに、顔へ風を送るケイ。エアコンを入れたばかりの室内は蒸し暑い。温暖化も進んだものだ。
何を歌うか盛り上がる未来と響が検索機をいじっていると、室内が暗くなり、画面に「恋の桶狭間」というタイトルが表示された。伴奏を聴くに、演歌だ。
そこで前に立って一礼したのは、翼だった。
「こういうの、やってみたかったんだ」
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