9部分:第九章
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第九章
「ならば。よいことだ」
「私もだ」
伍子胥も言った。
「元よりそれは承知のこと。包み隠さず書くがいい」
「わかりました。それでは」
「そしてだ」
伍子胥はなおも歴史係に言う。
「はい」
「彼の名も書いておくようにな」
「それではそちらも」
「専緒よ」
伍子胥は彼に顔を向けて声をかけた。
「そなたの名は残る。永遠にな」
専緒は何も語りはしない。だがその顔は安らかであった。その安らかな顔でそこに静かに眠っていたのであった。ことを果たした顔で。
専緒は死に光が王となった。それからの呉は伍子胥と孫武の下大幅に力を蓄え遂には楚を脅かし散々に打ち破った。伍子胥は楚の都を攻略するとすぐに自身の父と兄を殺したあの王の墓を暴いたのであった。全ては復讐の為であった。
「遺体をどうされるのですか?」
「決まっている」
豪奢な服に包まれ骨だけになっている亡骸を憎悪に満ちた目で見下ろしていた。
「罰するのだ」
「ですがもう死んでいますが」
「そうです」
側にいる兵士達が伍子胥に対して言う。
「これでは何もできません」
「都は攻略しましたしこれで」
「ならん!」
だが伍子胥はこれで終わらせるつもりはなかった。激しい声で言うのだった。
「まだ我が怨みは消えてはいない。父と兄を殺された怨みは!」
「ではどうされるのですか?」
「墓はあばきましたし」
死者に対する最大の辱めである。これで充分ではないかと誰もが思った。だが伍子胥はそれに満足してはいなかった。まだ復讐を果たすつもりだったのだ。
「鞭を持て」
彼は兵士達に言った。
「えっ」
「鞭を持てと言ったのだ」
また言う。そうして強引に鞭を持って来させ己の手に持った。
それから。王の遺体をその鞭で打ちすえだした。それも幾度も幾度も。怨みと憎しみを込めてただひたすら打ちすえるのであった。
「死んでも罪が消えると思うな!」
彼は王の遺体を痛めつけながら叫んだ。
「貴様の罪は消えはしない。永遠に刻み付けてくれる!」
「あ、あの将軍」
「幾ら何でもそれは」
「黙っておれと言っている!」
止めようとする兵士達に対して叫ぶ。
「ずっとこうするつもりだった。この王をこの手で」
まだひたすら打ちすえる。身体はバラバラになり砕けていく。やがてそこにあるのはただの残骸だけとなった。だが髑髏だけは残っていた。
「その辺りに捨てておけ」
棺まで完全に壊して控えている兵士達に告げた。
「そして首は」
「首は?」
「わしが捨ててくる」
鞭に突き刺して言った。その髑髏を。
「江にでもな」
長江のことだ。呉も楚も南方にあり河といえば長江のことを言うのだ。
「そうして。あの世でも永遠に安眠できぬようにしてやる」
「永
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