第150話 謀臣賈?暗躍す
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じめた。賈?は黙って張遼の話を聞いていたが彼女の視線は閉じられた屋敷の門に向けられ、それを睨み続けていた。
「屋敷に周公瑾はいるのよ。彼女を拘束できれば私達も運が開けてくる」
「逆やろ。清河王と真正面から激突することになる。賈?っち、清河王と対等な駆け引きをしようなんて考えるのは止めとき。今は大人しく清河王の下座に立ち機会を窺うのが最良の選択やと思う。形式でも清河王に信任を得られば王司徒とも上手くやっていけるはずやろ」
「今の情勢で清河王の下につけばもう復権の機会はないわ。それどころか王司徒一派は私達を排除する方向に動くはず。私達が清河王から強い信任を得られれば別だけど、今までのことがあるから無理に決っているわ」
「ほうやな。なら涼州に戻って元通りに生活すればいいやろ。うちは今の堅苦しい生活より気に入っていたけどな」
張遼は背伸びすると目を細め雲の流れる青空を気持ち良さそうに眺めていた。
「あんたも月と同じことを言うのね」
賈?は視線を落とし張遼の聞こえないように独白した。張遼は賈?のつぶやきを聞こえなかったのか賈?に視線を向けた。
「何か言ったか?」
「何も言っていないわ」
「そうか。なあ。賈?っち、ほんまに屋敷に周公瑾いるのか?」
張遼は賈?の言葉に半信半疑のようだった。
「静玖さんからの情報よ。ある程度信頼性はあるわ」
「静玖さんは周公瑾と面識ないやろ。見間違いがちゃうか?」
張遼は少し呆れていた。
「静玖さんによると情報元は禁軍の校尉からの情報らしい」
「その校尉は信用できるんか?」
「静玖さんが発言が信用できない校尉からの話を私に知らせてくると思う?」
賈?は張遼に視線を向け尋ねた。
「ないな。ということは王司徒が嘘をついている。もしくはもう周公瑾はこの屋敷にはいないか」
張遼は顎に右手の親指と人差し指で支え屋敷の門を眺めながら独白した。
「周公瑾がもう屋敷を出て行った可能性はあるわね。でも、王司徒のことだから信用できない」
「不漁不漁や。もうええやろ」
張遼は賈?に言った。
「霞、このまま王司徒の屋敷を見張っていて頂戴。兵達は半分私が引き連れていくわ」
賈?は張遼の言葉など耳に入っていないと言わんばかりに逆の指示を出した。
「賈?っち、本気なんか!? うちらの立場が悪くなるだけやで」
「いいわね」
賈?は張遼に有無を言わせなかった。張遼は項垂れため息をつきながら頷いた。賈?は張遼の返事を確認すると二五名の兵を連れて去っていった。
賈?の冥琳への執着が王允の疑心を醸成させることになる。
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